« 考える力 | トップページ | 維新は反自民の受け皿になれるか »

2023年11月11日 (土)

藤井八冠竜王防衛

 藤井聡太竜王(八冠)は,伊藤匠七段の挑戦を4連勝で退けました。八冠後の最初のタイトル防衛戦で,藤井八冠を追う一番手ともいえる,現在絶好調の同世代の棋士が相手でしたが,藤井八冠の敵ではありませんでした。この将棋は,序盤に伊藤七段が,通常なら6二に銀を上がるところを金が上がるなど,藤井竜王の早い桂跳ねに対応し新手を指していました。その後,藤井竜王が飛車を切って攻めていくのですが,伊藤七段も6七に銀を打ち,2九に飛車を打って相手玉に迫っていきます。藤井陣は飛車と歩で玉頭から攻められて,素人目には,簡単に負けてしまいそうなのですが,AIの評価値では藤井竜王が若干優勢でした。伊藤七段の攻めは比較的かわしやすいということであったのでしょう。実際,伊藤七段は飛車先の歩が成り込むなど攻勢にみえたのですが,一手空いたところで,なんと藤井竜王は37手詰めで相手玉を詰ましてしまいました(途中で伊藤七段は投了)。37手詰めなど神がかり的で,まさに神の頭脳です。実際,駒を並べてみましたが,二枚の柱がよく効いて,きれいな詰みでした。実は,途中の8四銀という派手な捨て駒の順があるのですが,そこで歩を打っていれば,もっと短い手数で詰んでいたので,藤井竜王はそのことを悔やんでいたようです。あまりにも次元の違うレベルの話です。
 これでタイトル獲得19期で,歴代6位の米長邦雄永世棋聖に並びました。この上は27期の谷川浩司17世名人です。あとは渡辺明九段(31期),中原誠16世名人(64期),大山康晴15世名人(80期),羽生善治九段(99期)となります。しかも,タイトル戦で奪取も防衛も含めて,19回連続勝利で,これは大山15世名人の記録とタイだそうですが,これまでタイトルを奪われたことがないという点では,前人未踏の記録です。桁違いの強さです。
 竜王戦が4局で終わったので,藤井八冠はしばらく休めるでしょう。次のタイトル戦は年明けの王将戦です。挑戦者決定リーグでは,いまのところ永瀬拓矢九段が4連勝で先頭を走っており,菅井竜也八段が31敗で追いかけています。羽生善治九段も32敗で挑戦の可能性が残っています。次の永瀬・羽生戦が大きな勝負となります。棋王戦も同じころに行われますが,こちらはベスト4がでそろい,豊島将之九段,広瀬章人八段,伊藤匠七段,本田奎六段が残っています。伊藤七段はこちらでも挑戦の可能性が残っています。連続挑戦の可能性は十分にあります。棋王戦は,ベスト4以上では敗者復活戦があり,2敗で敗退ということになっています。

« 考える力 | トップページ | 維新は反自民の受け皿になれるか »

将棋」カテゴリの記事