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2023年11月 8日 (水)

インフルエンザ予防接種

 本日はインフルエンザの予防接種を受けました。毎年受けています。副反応が生じたことがないので,とにかく安心のために受けていますが,接種しなくてもよいかなという気もしています。いまは大学で低料金(それでも値上がりしていますが)で,接種できていますが,定年後はそうはいかなくなるでしょう。ただ,神戸市のHPをみると,65歳以上になると,少なくとも今年は1500円で受けられるようなので,大学で受けるよりも安いですね。ありがたいことです。ただ,よく考えると,これでよいのかという気もします。
 インフルエンザの予防接種を通常の医療機関で受けると,価格はまちまちです。大人数家族で高額の予防接種費用を払っているという家庭やあまりに高いので予防接種を受けられないという家庭があるという話も聞いたことがあります。保険がきかない自由診療の世界では,こういうことになるのです。国民皆保険が実現する前は国民の約3分の1は公的な医療保険がないなかで生きていました。医者にかかることは簡単ではなく,少々の病気なら我慢していたのでしょう。公的保険に加入できている人といない人の差は大きかったと思います。国民皆保険は強制保険ということで強引なものではありましたが,チャレンジングな社会実験をし,それに成功したといえるでしょう。
 今日では,次々と開発されている高度医療が保険診療でないことが多いので,それを利用できる人とそうでない人との間の新たな格差問題が出てきています。難病の人の治療が保険対象外で高額になることは,やむを得ない面もあるのですが,やはり考えさせられます。医療機関では,必ずしも医師にかからなくてもよいのではと思われるような人が,安い費用で緊急性がそれほどない治療を保険適用で受けているのです。予防面ではとてもよいことなのでしょうが,そういうことが保険財政面での余裕をなくし,難病の人にしわ寄せが行っていないかが心配です。
 以前に日本経済新聞で,「広がる子供の医療費無料化,過剰受診も 見直しは進まず」(2023219日電子版)というタイトルで,子ども医療費の無料化が過剰な医療を引き起こしているという記事が出ていました。適度な自己負担が効果的ということです。神戸市をみると,3歳になるまでは無料で,3歳から高校生までは,自己負担は2割ですが,1日最大400円で月2回までの負担であり,3回目以降は自己負担なしです。子をもつ家庭にはとてもありがたい制度ですが,少し寛大すぎるのではないかという気もします。
 ただでさえ少子化で患者が減少するなかで,余計なことを言うなと医師の方からも叱られそうですが,医師の処遇改善は別途に政府に考えてもらうとして(いまの厚生労働大臣はそういうことをするのにぴったりの人でしょう),私たちはできるだけ病気にならない身体をつくることを考えなければならないのでしょう。
 いまの子どもは乾布摩擦とかしないかもしれませんが,医者に簡単にかかれなかった時代は,様々な民間健康法や食事で病気の予防を図っていたのだと思います。大家族であれば,まさにそうすることが生活防衛のためにも必要なのです。民間健康法などで防ぎきれないこともあるでしょうが,まずは,保険があるから医師にかかっておこうというのではなく,個人が病気の予防を図るようできるだけ努めるのが大切なのではないかと思います。とくに子どもたちは,身体を鍛錬するためにも,医療費の寛大な助成があるからといって,安易に医療機関にかからせないようにすることが親には求められているように思います(もちろん,ほんとうに必要な場合は利用すべきですが)。
 ということで,私もインフルエンザの予防接種が安くできるからといって,安易にそれに頼らずに,インフルエンザにかかりにくい身体をつくるように努めたいと思います。

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