N高
先日のテレビ東京のカンブリア宮殿でN高とその校長の奥平博一氏のことが採り上げられていました。この学校のことは,前から気になっていましたが,改めて番組を観て,よい学校だなと思いました。大学もつくるということで期待しています。とにかく「教える」ということに限界が感じられるなか,教育の目的は,若者たちの考える力,なにかをしようとする意欲というものなどを,どう喚起し,サポートするかに力点が置かれるべきだと思っています。知識は,何歳になっても,その気になれば学ぶことができます。どうしても必要な知識は学校などで教えておく必要がありますが,学習べきもののなかには,それだけでない部分もたくさんあるのです。
人間は,共同体社会の一員であり,人とのつながりなしには生きていけません。しかし,それは人為的にできたゲゼルシャフト(Gesellschaft)におけるつながりとは区別する必要があります。ゲゼルシャフトが問題なのは,過剰な組織優位の思想になりがちなところです。労働法の諸問題の多くは,そういうところに起因しています。これまでの学校教育は,意図していたかどうかはともかく,組織で活躍できる従順で,かつ,そこそこ優秀な人材を育てるのに適したものでした。しかし,ほんとうに必要なのは,私たちの住んでいるゲマインシャフト(Gemeinschaft)の共同利益のために貢献できることを自分で考えたり,そのために人々を結集させたり,互いに連携したりできるような人材を育てることなのです。そういう人材こそが私の定義するプロ人材であり,企業としても,これから生き残るためには,そういう人材を集めることができなければいけません。
N校というのは,そういう人材を育成するのに適した学校として,たいへん期待できると思います。入学者が増えているのも理解できます。もちろんテレビで観た情報だけしかなく,実際の姿を知っているわけではありません。それでも,学校の打ち出しているコンセプトには賛同できます。通信制への偏見を打ち破り,DX時代に適した教育方法として,またテレワークにもつながる教育として,今後の発展に大いに期待したいです。
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