日本シリーズ
11月までプロ野球を楽しめるのはありがたいことです。結果はどうなるかわかりませんが,日本シリーズの第4戦と第5戦の甲子園での連勝で,阪神ファンとしてはとても満足したような気がします。もちろんあと1勝して日本一になってほしいですが,そうでなくても今季の甲子園の最後の2試合で十分に満足することができました。
今回の日本シリーズはエラーが多いのですが,それでも凡戦になりません。エラーというのは,未熟な選手がやらかすものもあれば(サトテルのサードのエラーはそのタイプです),どんなに名手であってもしてしまうミスというというものもあり,今回の試合はさすがにペナントレースを勝ち抜いてきた強者なので,多くは後者のミスなのでしょう。だから試合がくずれません。
それでも第4戦は,サトテルのエラーをきっかけに,それまで絶大な信頼が置かれていた桐敷が乱れてしまい,2点差を同点に追いつかれました。それを挽回したのが湯浅で,彼の登場で甲子園が大盛りあがりで,ムードが変わりました。最後はオリックスの外国人投手が落ち着かない投球で,オリックスとしては珍しく脆さをみせた感じです。不調の大山もサヨナラヒットを打って盛り上がりました。サトテルも桐敷も救われたことでしょう。
第5戦では,7回表に中野と森下のダブルエラーで2点差になったときには,かなり厳しいと思いました。相手の先発投手に手も足も出ない感じだったからです。しかし,ここでも湯浅が8回に登場して3人で抑えてムードが変わりました。しかも8回裏に相手投手が交代して,タイガースのビッグイニングとなりました。大逆転という報道もありますが,2点差であったので,もしかしたらなんとかなるかもという気もしていました。しかし,それにはきっかけが必要です。それが湯浅の登場,そして相手投手の交代,さらに糸原のしぶといヒットで,上位に回ったところで逆転のお膳立てはそろいました。近本は貫禄のタイムリー,そして森下はエラーを挽回するためという意気込みをもって,みごとな逆転2点3塁打でした。新人とは思えません。
昔の阪神にはなかったような粘りです。阪神生え抜き選手を金本監督時代からきちんと育ててきた成果が出ているのではないかと思います。安易に他球団から選手を補強せず,自前で育て,そして最も阪神に愛をもっている岡田監督の再登板で,とても雰囲気のよいチームが出来上がりました。阪神というとドラフトで失敗してきたというイメージをもっていたのですが,昨日の打順をみると,近本(2018年ドラフト1位),中野(2020年ドラフト6位),森下(2022年ドラフト1位),大山(2016年ドラフト1位),佐藤(2020年ドラフト1位),坂本(2015年ドラフト2位),木浪(2018年ドラフト3位)となっていて,とくにドラフト1位が活躍できているのは他球団と比べても珍しいと思います。代打・代走では糸原(2016年ドラフト5位),島田(2018年ドラフト4位),小幡(2018年ドラフト2位)などで,やはりよい選手をとってきたことがわかります。投手も,現役ドラフトで加入した大竹,オリックスから移籍してきた西勇輝を除くと,村上(2020年ドラフト5位),伊藤(2020年ドラフト2位),才木(2016年ドラフト3位),石井(2020年ドラフト8位),桐敷(2021年ドラフト3位),湯浅(2018年ドラフト6位),岩貞(2013年ドラフト位),西純矢(2019年ドラフト1位),岩崎(2013年ドラフト6位),島本(2010年育成ドラフト2位),そしてまだ登板していない青柳(2015年ドラフト5位)など,やはり生え抜き中心です。京セラドームでは,タイガース愛をもった監督と選手たちで,悔いのない戦いをしてほしいです。相手は日本を代表する大エースの山本がリベンジを果たすために立ちはだかるでしょう。もしそこで負けると,最後は第2戦でやられた宮城が出てきます。いまのタイガース打線では,左腕の宮城のほうが大変かもしれないので,第6戦で決めたいところです。なんとかロースコアの接戦に持ち込んで,ワンチャンスで勝つしか可能性がないように思いますが,どうなるでしょうか。ビジターといっても京セラドームはホームゲームとしてもやっています。先攻になるのは少し不安ですが,ファンの後押しは十分期待できるでしょう。