魚からの警告
私が気づいていないだけかもしれませんが,気候温暖化のことが,あまり議論されなくなっているような気がします。自動車産業のEVシフトややいろんな産業での脱炭素化ということは耳にしますが,もっと大きな視点で地球の未来を語ってくれる経営者がどれだけいるかということが,少し気になります。ESGという言葉も,これが定着したからなのか,それともブームが過ぎたのか,あまり耳にしなくなりました。菅政権のころに言われていたGXは,いまどうなっているのでしょうかね。環境大臣の名前もすぐには出てきませんね。
ただ,スタートアップ企業などをみていると,社会にある様々なニーズをうまくとらえるビジネスがやはり成功しているようであり,そうした社会のニーズは地球の持続可能性を意識したものが多いと思います。若者をはじめ,人々の価値観も変わってきているはずです。ビジネス面でも,やはりESGは無視できないものでしょう。
ところで,気候温暖化の影響は,自然の世界で最もわかりやすく発現するのであり,その代表例が魚の動きです。かつては福岡で穫れていたふぐが,北海道で大量に穫れるようになったということを,先日のNHKの朝のニュースが伝えていました。海水温の上昇のためです。北海道ではふぐを食べる習慣があまりなく安く買えるようですが,それだったら飛行機代を払ってでも北海道に行きたいと思う関西人は多いでしょう。10年ほど前に,お祝いごとのために,わざわざ博多に行って「い津み」という名店でふぐ料理を食べたことがあり,ふぐと言えば,下関か福岡かという感じだったのですが,もうそうではないのかもしれません。
今朝の日本経済新聞の春秋では,鮭についても,同じようなことが書かれていました。福岡で穫れるものが北海道で穫れるようになるということは,北海道で穫れるものがロシアなどの外国に行かなければ獲れなくなるということです。これは困ります。魚は日本人にとっては文化です。でも,ほんとうはこれは単なる食文化の話にとどまらないのでしょう。魚が人類の危機を警告してくれているととらえるべきなのです。気候温暖化のことを,みんなと一緒にもっと真剣に考えていきたいと思います。
« 村上のダブルタイトル | トップページ | 裁量労働制の同意の撤回について »
「つぶやき」カテゴリの記事
- ネットが使えない恐怖(2024.09.04)
- 共通善の実現方法(2024.08.30)
- 4分1と3分の1の違い(2024.08.22)
- 哀悼(2024.08.21)