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2023年10月30日 (月)

無人タクシーに思う

  少し前のことになりますが,1020日の日本経済新聞で,「無人タクシーホンダ先陣 GMと,26年に都内で開始 人手不足解消に期待」というタイトルで,「ホンダが日本の無人タクシーの実用化で先陣を切る。19日,米ゼネラル・モーターズ(GM)と2024年前半に共同出資会社を立ち上げ,26年から東京都内中心に運行すると発表した。無人タクシーは人手不足解消の切り札として期待される。」という記事がでていました。ライドシェアへの期待をたびたび書いてきましたが,もちろんAI時代のモビリティは無人タクシーということになります。
 そうなるとタクシー運転手の仕事はなくなるはずです。ただ,それがいつ到来するかは未知数でした。私はもっと早く到来するかと思っていましたが,そう簡単ではないようです。技術的な理由よりも,規制面のハードルが高いのかもしれません。安全性に関する懸念はいつものことですが,すでに人間の運転よりもはるかに安全なレベルには到達しているようです。最近,California州の当局は,GM傘下のクルーズ社のタクシーの無人走行を停止する措置を出したようです。他の車にはねられて道路に放りだされた人を轢いてしまったり,緊急走行の消防車と衝突したりする事故があったことが理由ですが,人間であったら避けられた事故かどうか,こうした事故がAI運転に内在する危険の顕在化とみることができるのかなど慎重な検討が必要と思われます。
 ホンダにはぜひ頑張ってほしいですが,気になるのは雇用への影響です。生成AIで再び関心が高まったかと思われたAIによる雇用代替の可能性について,いま政策面でどれくらい真剣に議論されているかよくわかりません。タクシードライバーの仕事がなくなるという事例を皮切りに,いったいどのようにして雇用危機が起こらないようにするかについて検討してもらいたいです。生成AIに対する政策課題は,産業への活用や倫理面からのルール作りなどに目が向きがちですが,そこから先のこともまた想像しなければなりません。これは私が『AI時代の働き方と法』(2017年,弘文堂)や『会社員が消える』(2019年,文春新書)で力説してきたことです。はやく対応を始めなければ,手遅れになります。
 日本企業のデジタル技術開発には期待していますが,これをサポートする雇用政策が脆弱であれば大変なことになるでしょう。

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