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2023年9月10日 (日)

田中希実選手の驚異的な日本新

 昨日の早朝,Brusselsで行われていた陸上のDiamond LeagueDL)の女子5000メートルで,田中希実選手が3位に入りました。先日の世界陸上でも,予選で日本新記録を出しましたが,そのときの143798は,それまで廣中璃梨佳選手が東京五輪で出した145284を,15秒近く縮める記録で衝撃を与えていたのですが,それをさらに9秒近く上回り,142918を出しました。女子のこの競技は,15分を切る記録(sub fifteen)が世界で戦うための条件となっていますが,日本女子にとってはかなり厳しいハードルでした。そもそも陸上というのは,1秒を削るために必死の練習をするのですが,田中選手は,2週間も経たないうちに,24秒近く縮めました。Kenya(ケニア)合宿の成果なのでしょうが,これには本人が一番びっくりしているかもしれません。
 このレースは,あとからBBCの中継を観ましたが,小柄で唯一人のアジア選手が,アフリカ勢や若干名の白人に囲まれながら,でもきれいなフォームで走る姿は凛々しかったです。途中までは10位あたりを走っていたのですが,徐々に先頭集団が絞られるなか,そのなかにしっかり入って6位あたりで走っていて,最後の2周くらいのところで3人に絞られて,いっときは13秒くらい先頭から離されて,なんとか3位で走ってくれという感じだったのですが(結果はわかっていたのですが),驚いたのはラスト1周です。猛然とスパートをかけて,先頭の二人にあわや追いつき,追い抜かしそうな勢いでした。途中から実況中継のアナウンサーも「Tanaka」「Japanese」と連呼していました。ここで田中の猛追に気づいたのでしょうか,優勝したRengeruk(ケニア)がスパートして,最後は少し差をつけられましたが,彼女の優勝タイムは14分26秒46で田中との差は2322位のEthiopia(エチオピア)のEisaが142894で,田中との差はわずか024でした。世界陸上で,トップの背中がみえる位置で走りきったことで自信をつけたでしょうが,このDLでは,はっきり世界と勝負できる体力とスピードがあることを再び示してくれたと思います。Rengerukは,Budapestの決勝では勝っている相手です(彼女は10位で,田中は8位。Eisa6位)。東京五輪の優勝タイムは,143679ですので,気象条件などが違うのでなんともいえませんが,田中選手はまちがいなく世界で戦える選手です。人見絹枝選手以来のトラック種目での五輪メダリストになるのも夢ではありません。少し前までは,考えられないようなことだったのですが……。北口榛花選手の日本新での貫禄の優勝もあわせて,海の向こうから,日本の女子選手たちの活躍が伝わってきて,とても嬉しいです。
 DLの年間上位選手で争うファイナル(916日からアメリカ)には,北口選手,田中選手以外に,男子では110メートルの泉谷駿介選手,3000メートル障害の三浦龍司選手も出場します。みんなすごいです。頑張ってほしいですね。

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