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2023年9月 6日 (水)

岡田監督の抗議に思う

 数日前に,近本光司選手が,ヤクルトの投手から右脇腹のデッドボールを受けたのをみたとき,思わず悲鳴が出そうになりました。前に巨人の投手から同じような箇所にデッドボールを受けて骨折し,一時は今季絶望かというほどでしたが,なんとか復帰して活躍をはじめていたのですが,またデッドボールを受けたので,これはたいへんだと思いました。倒れ込んだ近本選手をみて,何ともいえない気分になりました。ぶつけた投手は帽子をとっていましたが,結局,ヤクルト首脳陣はまともな謝罪をしませんでした。幸い,近本選手は打撲ですんだようですが,だからといって良しというわけにはいきません。
 ヤクルトの高津監督は,ぶつけた山本投手(左投げ)はシュート投手なので,という言い訳にならないようなことを言っていましたが,死球はそれだけで出塁できるというペナルティを受けるので,敵もプラスになるのだから,別に詫びる必要はないとでも思っているのかもしれません。ヤクルトは,梅野捕手にもデッドボールをあてており,こちらはまさに長期離脱になっています。岡田監督が怒るのは当然でしょう。
 死球は頭部への危険球であれば一発退場です。ただ,それに該当しなければ,かまわないという「反対解釈」はいけないでしょう。
 阪神では,古い話になりますが,私が応援していた田淵幸一選手が,広島の外木場投手から頭部に死球を受けて,命の危険にさらされたことがありました。子どもながらにショックを受けたことをよく覚えています。奇跡的に復活し,その後の活躍は見事でした(その後,西武にトレードされたときは悲しかったです)が,おそらく後遺症は残っていたことでしょう。デッドボールは恐ろしいのです。田淵の次のミスタータイガースであった掛布雅之選手は,全盛期に,中日の齋藤投手から,手首にデッドボールを受けてしまい,その後は急速に輝きを失い,33歳の若さでの引退になりました。
 そういう阪神も,いまはアメリカで活躍している藤浪晋太郎投手がいたときには,右打者相手にシュートがすっぽぬけて,よくデッドボールをあてていました。藤浪の場合は,故意ではなく,たんにノーコンだったのでしょうが,相手チームには申し訳ない気持ちでした。ノーコンのほうが,打たれにくくてよいという意見もありますが,やっぱりそれはよくないです。ぶつけてもよいという気持ちで投げているのは,傷害罪や暴行罪の未必の故意があるといえないでしょうか(立証は難しいでしょうが)。
 今期は,DeNAの京田選手が,熊谷選手の走塁を2塁でブロックしたことも問題となりました。京田がセカンドベースを塞いでしまっていたので,熊谷は滑りこむ場所がありませんでした。京田に体当たりするしかないのですが,それではお互いにケガをする危険がありますので,熊谷はそれを避けました。審判は最初はセーフ判定でしたが,VARにより判定が覆りました。京田は故意ではなく,捕球の位置からして不可抗力であったということで,だからベースにタッチできなかった熊谷はアウトになったのです。岡田監督が退場覚悟の猛抗議をしました。本塁ではcollision ルールがあり,こういう場合はランナーはセーフになるのですが,2塁にはそのルールがありませんでした。こちらは,なんとすぐにルール(解釈)の変更につながり,熊谷のようなケースは,昨日からセーフにすることになったようです。岡田監督の抗議は正しかったということが証明されました。
 岡田監督は,死球についても,京田の危険なブロッキングについても,選手のために必死に抗議をしてくれました。これは選手にとっては心強いことでしょう。しかも,言っていることは,正論なのです。こういう監督の下であれば,選手も一所懸命に頑張ろうという気になるでしょうね。

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