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2023年9月28日 (木)

王座戦第3局

 王座戦5番勝負の第3局は,挑戦者の藤井聡太竜王・名人(七冠)が,永瀬拓矢王座をやぶり,ついに八冠に王手をかけました。この対局は先手の藤井竜王・名人が劣勢で,終盤では評価値が80を超えて永瀬王座大優勢でした。藤井玉は,左右から挟撃され,永瀬王座が5筋を香車をバックに金でゴリゴリと押し込んでおり,藤井竜王・名人もがっくり肩を落として敗戦を覚悟している感じでした。それでも飛車で香車をとり,金を一歩バックさせて,一手だけ余裕が生まれたような感じがしました。しかし飛車を渡したこともあり,1手でもゆるむと,そこですぐに必至がかけられそうな状況です。そこで藤井竜王・名人は5一にいる玉に向けて,2一飛と持ち駒の飛車を打ち込んで王手をかけました。形作りのような感じでした。素人目には,3二に金がいるので,3一と底歩を打てばよいのではと思えました。そのあとも先手は4三銀からの攻めは続けられますが,後手が余しているようでした。しかし永瀬王座は残り時間をすべて使って,4一飛と指したことで,「事件」は起こりました。評価値は大逆転となりました。藤井竜王・名人は6五角と指して,3二と5六にいる金の両取りをかけ,永瀬王座の攻撃の要であった5六の金を取り除くことができ,必勝の形となりました。たった1手のミスによる大逆転でした。藤井竜王・名人は,ずっと肩を落としたまま指していたので,本人にとっても勝った気はしていなかったのかもしれません。負け将棋をたんに相手のミスで勝っただけでは,最強の王者としては満足できなかったのでしょう。
 いよいよ1011日が,前人未到の八冠の達成がなるかどうかという日になります。日本中が注目する対局となるでしょう。第3局は藤井竜王・名人は勝ったとはいえ,内容は負け将棋であり,最近はこういうパターンが増えつつあるように思います。それでも勝つのはたいしたものですが,やはり圧倒的な強さで押し切るという感じでないところは気になります。タイトル戦続きの影響かもしれません。その意味で,永瀬王座にも挽回のチャンスはあると思います。さらに藤井竜王・名人は,現在の最強の挑戦者かもしれない伊藤匠七段との竜王戦七番勝負が,106日から始まります(二日制)。藤井竜王・名人の疲労が気になるところであり,体調に気をつけて頑張ってほしいです。

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