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2023年8月20日 (日)

「普通」の大切さ

 また阪神タイガースの話です。岡田監督の言葉に印象的なものがあります。「普通にやらないから負けた」「普通にやるだけ」といった「普通」という言葉がよく出てきます。とくに最近では,サードのサトテルが,3塁線の打球に対して,正面でとろうとせずに,逆シングルでとろうとしてエラーにして,併殺できるところが,オールセーフになってしまったこと(これによって投手に余計に球を投げさせることになり,しかもむこうの打線の流れがよくなったこと)と,同じ試合でもう一つ,ノーアウト23塁の局面で,内野守備陣が後ろに守って1点はOKという布陣でのぞんでいるので,球をバットにあてて転がせば点が入るところを,フルスイングして3球三振したことを批判し,次の2試合は先発から外しました。素人でもわかるような基本的なことができていないのですが,こういう「普通」なことができていないようではダメということです。
 思うに,岡田監督にとっては,これまで十分に準備をしてきたので,それをそのまま発揮するというのが「普通」であり,なにも特別なことはしなくてよいと考えているのでしょう。これはたとえば入学試験前に十分に準備をしていれば,本番ではそれをそのまま発揮すればよく,自然体で臨めばよいというのと同じでしょう。だから岡田監督は,試合でとくに具体的な指示はしないのであり,ただ「普通」にやってくれという包括的な指示をしているだけなのだと思います。サトテルについては,ここはこういうようにやれよと指示を出したほうがよいような気がしますが,監督はそういうことはしないのでしょう。それくらい自分で考えられないようではダメであり,監督は,本番において細かいことを指示しなければわからないような選手ではいけないと考えているのだと思います。これは割り切りすぎのような気がしますが,マスメディアをとおしてやんわり指示をしている面もあります(岡田監督の試合後のインタビューは,内容豊富です)。
 監督が直接いろいろ言わない育成方法のほうが,選手は成長するのでしょうが,目先の試合に負けることもあります。だから,長期的な視点でとらえる我慢が必要で,岡田監督は10月にアレを実現して,勝利の美酒に酔うというところが目標なので,そういう我慢ができるのでしょう。サトテルは,2試合外されただけで,スタメンに復帰していますが,いまいちです。素人目にも打てそうな感じがしません。サトテルは,いわば外国人選手のようで,ほんとうに気ままに野球をやっていて,それでいてホームランも打点もチームで2位ということで,その打撃は魅力なのですが,なにせ確実性が低いのです。でも考えると,一発屋の外国人選手というのは,こういうタイプだったのであり,サトテルもそういう外国人と同じと思えばよいのかもしれません。
 岡田監督の割り切りは,いくら十分に準備しても,良い投手が打てないのは「普通」のことで,でもどんなに良い投手でも球数が増えれば打てる可能性が出てくるので,たくさんの球を投げさせるようにするというのも「普通」のことで,それでも差がついていたら追い上げられないから,投手はできるだけ点数に抑えることも「普通」であり,相手に打たすとヒットの可能性もあるが,78割はアウトになるので,自らランナーを出す四球は自滅以外のなにものでもないというのも「普通」の発想なのです。そして,こうした「普通」のことを積み重ねれば優勝できると考えているのでしょう。当たり前のことのようですが,それを着実に実行するのは難しいのでしょう。岡田監督は,名将と言われると,「いや普通のことをやっているだけや」と言うかも知れませんね。

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