王座戦始まる
夏休みの最終日です。といっても,実際には,新学期はすでに今週から始まっている人も少なくないでしょう。大学は,授業がないという意味の夏休みはまだ続きますが,その間にも,期末試験の説明会があったりで,完全に夏休みというわけではありません。教員はさらにオープンキャンパスがあったり,入試があったりで,いまは完全なオフという意味での夏休みというのは,ほとんどなくなっています。
話はかわり,将棋は王座戦が始まりました。メディアでもたいへん注目されています。なんといっても藤井聡太竜王・名人(七冠)が八冠を目指す戦いです。初戦は,タイトル保持者の永瀬拓矢王座が,勝ちました。先手は藤井竜王・名人で,終盤まで戦況はよくわかりませんでしたが,最後は1分将棋が長く続く熱戦となりました。評価値的には永瀬王座優位で進んでいましたが,素人目には大接戦でハラハラして目が離せない展開でした。永瀬王座は最善手を指し続けた感じで,強かったです。5番勝負ですので,勢いになったほうが有利ですし,永瀬王座は後手番で勝ったことも大きいですね。多くの人は藤井乗りでしょうが,軍曹の異名をもつ永瀬が意地をみせるかもしれません。
永瀬王座は,かつてまだ人間とAIが本気で戦っていたころ,プロ棋士代表と将棋ソフトとの団体戦に出場したことがありました。そのとき永瀬六段(当時)は,角が敵陣に入ったが「成らない」という,通常はありえない手を指し,ソフトの意表をついて勝利を得たことで有名です。事前にソフトを研究して弱点を把握し,そこを実戦で突いたということで,勝負に徹する永瀬王座らしいエピソードです。負けにくい将棋を指ことで知られている永瀬王座ですが,その強さには磨きがかかっています。藤井竜王・名人とはよく練習将棋を指してきたということで,誰よりも藤井竜王・名人の弱点を知っているかもしれません。第2局以降が楽しみです。