« 変化 | トップページ | お祝い金 »

2023年6月30日 (金)

電動キックボードこわい

 電動キックボードの規制緩和で,その扱いは原付と同じではなくなり,免許不要,ヘルメット不要,歩道走行可となります。歩道走行は時速6キロ以下が条件で,歩行者並みということですが,歩行者は4キロくらいであり,6キロはやや速いです。自転車の歩道走行がよいのなら,6キロ以下の電動キックボードはOKだろうということかもしれませんが,そこは根本的に間違っている感じがします。現在の自転車の歩道走行は危険なことが多く,むしろこれを規制することこそ必要だと思っています。あえて数値化すれば,現在の自転車の歩道走行が,危険度10であるのに対し,電動キックボードが危険度5だから認めてよいだろうというのは誤りで,これによって,危険度0の歩行者が電動キックボードに乗り換えると歩道走行の危険度が15となるというイメージです(単純な足し算ではおかしいのですが,あえてわかりやすい例としています)。自転車を歩道から追い出して,それより危険性の低い(安全性の高い)電動キックボードを認めるというのならOKですが。
 そもそも自転車について,この春から導入されたヘルメットの努力義務は,ほとんど守られていないようにみえます。相変わらずママチャリに乗ったママが,ノーヘルメットで猛スピードで歩行者のことなどまったく気にせず歩道を疾走する姿を何度も目にします。自転車は原則車道であり,歩道で行く場合も徐行が原則です。老若男女を問わず自転車を気軽に歩道で使いすぎです。ぶつかると自分も相手も大けがのおそれがあります。そういう意識をもっているので,電動キックボードなど私にとっては論外です(なお,私は自動車免許をもたないだけでなく,原付免許も10代のときにとっただけで1度も更新しませんでしたし,自転車はもう何年も乗っていませんし,電動キックボードも乗ったことがありません)。
 関連する法律を確認してみました。
 自転車は,道路交通法上「軽車両」とされ(211号イ),「車両」の一種であり(28号),車両は原則として車道を通行しなければなりません(171項)。これに違反すれば,3月以下の懲役または5万円以下の罰金です(119条16号)。例外的に歩道を通行できるのは,①道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき,②当該普通自転車の運転者が,児童,幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき,③前2号に掲げるもののほか,車道または交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき,です(63条の41項)。②において「政令で定める者」とは,道路交通法施行令26条によると,児童および幼児,70歳以上の者,普通自転車により安全に車道を通行することに支障を生ずる程度の身体の障害として内閣府令で定めるものを有する者とされています。なお,道路交通法では,児童は6歳以上13歳未満,幼児は6歳未満と定義されています(143項)。13歳未満,70歳以上であれば,自転車の歩道走行はOKということです。
 歩道を例外的に通行できる場合でも,その歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければなりませんし,自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは,一時停止しなければなりません(63条の42項)。これに違反すれば,2万円以下の罰金または科料となります(12118号)。
 一般成人が自転車で歩道を通行することはきわめて例外的しか認められず,ましてや歩行者を危険にさらして通行することなどできないはずなのです。守られない状況がこれ以上続くなら,AIによる監視を活用した摘発もOKにしてもらいたい気分です。
  電動キックボードに関する新しい規定は,また改めて確認します。

« 変化 | トップページ | お祝い金 »

法律」カテゴリの記事