変化
一昨日の日本経済新聞の夕刊の「あすへの話題」で,翻訳家の斎藤真理子さんが,「そうはいっても以前よりは良くなったなあ,と思えることを列挙してみた」として,「保育園に子供を送り迎えするお父さんの姿が当たり前になったこと。立ち小便の激減。車のシートベルトや駅のホームドア。飲酒運転は重犯罪という認識ができたこと。痴漢は犯罪、レイプは魂の殺人という認識もそう。『恋愛』と言ったら男女間のものという固定観念が崩れたこと。LGBTの人々への理解。いかなる場合も体罰はいけないという認識。本名で暮らし、働く在日コリアンの人々が増えたこと」を挙げていました。なるほどと思いましたが,私は労働関係の観点から少し追加したいことがあります。
①自宅にいても仕事中ということが増えてきたこと(テレワーク),関連して,出勤とは,外に出ることではなく,部屋にこもることというパターンが増えてきたこと,②日常生活で,「仕事だから」とか「組織のため」というのが,強いexcuse の効果をもたなくなったこと,③副業が当たり前になってきたこと,さらにパラレルワークが広がり,何が本業かわからない人が徐々に増えてきていること,④転職回数を自慢できるようになってきたこと,⑤大企業の管理職であるという肩書が,逆効果になりつつあること(名刺をみせないほうがよい),⑥若い社員に,残業させたり,臨時の業務を追加したりする場合には,きちんと説明しなければ,したがってもらえなくなってきていること,⑦手書きの書類作成などは論外であること,などです。
これらは私は良い変化だと思っていますが,人によっては,そう認識していない人もいるでしょう。若手官僚の退職が増えているのは,中央官庁が,こういう最近の変化に対応できていないからであり,それは当然の結果です。医療や保育の現場でも,手書きの書類やFAXの利用などがあるかぎり,若者は辞めていくでしょう。DXとかそういうことよりも,そもそも非効率な仕事をさせる職場であることが,タイパ感覚の強い若者には,ライフスタイルや価値観に全く合わない不快なことであり,敬遠されるのは当然なのです。働き方改革は,政府が音頭をとるよりも,人材の獲得のためには企業が自ずから着手しなければならないことでしょう。変化に対応する気がない企業や組織は衰退していくでしょう。
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