« 熊本総合運輸事件 | トップページ | 大雨警報下の授業 »

2023年6月 2日 (金)

記録は抜かれた人を輝かせる

 昨日,もう投了かなと思ってAbemaTVLiveを観ていたのですが,ちょっと天気予報を観たかったので,パソコンの画面をNHKプラスのLiveのニュースに切り替えたら,速報が入りました。ということで,新名人誕生の瞬間はLiveで観ることができなかったので,残念でした。対局2日目の午後には,挑戦者の藤井聡太竜王(六冠)がすでに優勢でした。この第5局も,前局に続いて藤井竜王(六冠)の快勝で4勝1敗となり,ついに渡辺明名人を無冠に突き落としました。これで,藤井竜王・名人(七冠)の誕生です。将棋界の2大タイトルである竜王・名人を同時に取得したことを示す竜王・名人の称号はまさに最強王者の証しであり,過去に谷川浩司十七世名人,森内俊之九段,羽生善治九段,豊島将之九段しかおらず,藤井七冠で五人目となります。
 ただ何と言っても,将棋界で最も権威のあるタイトルは名人であり,これまでダントツの記録であった谷川十七世名人の名人獲得時の212ヶ月の記録が40年ぶりに破られたことは,まさに歴史的なことでした。同時に,谷川十七世名人の偉大さが改めてよくわかります。藤井新名人の次の目標は,いよいよ八冠で全冠制覇となります。羽生九段の七冠は,叡王というタイトルがなかった時代のもので,全冠制覇という意味もあったので,そういうようにみると,藤井竜王・名人(七冠)は,八冠達成は前人未到のものですが,全冠制覇という点では,まだ羽生九段に追いついていないともいえます。羽生九段の偉大さもまた,改めて感じられます。
 藤井竜王・名人(七冠)にとって,残りのタイトルは王座ですが,こちらは挑戦者決定トーナメントが進行中です。トーナメントは16人が出場していて,藤井竜王・名人(七冠)は,初戦に勝ってベスト8に残っています。羽生九段も,昨日,久保利明九段に勝ってベスト8に残っています。うまくいけば,決勝進出をかけて藤井・羽生戦が実現します。一方,渡辺明九段(昔は,「前名人」という肩書がありましたが,いまは廃止されているようです)も初戦には勝っていて,順調にいけば,決勝進出をかけて,本日,本田奎六段に勝った豊島九段と戦うことになるでしょう。永瀬拓矢王座は4期連続王座をもっていて,次に防衛すると永世王座の称号を手にします。永世称号は,タイトルを失っても残るので,何がなんでも欲しいでしょうね。
 藤井竜王・名人(七冠)は,八冠に向かうためには,まず七冠を維持する必要があります。叡王は防衛しましたが,佐々木大地七段との棋聖戦5番勝負が65日(ベトナムのダナンで開催)から始まり,同じく佐々木七段との王位戦7番勝負が77日から始まります。佐々木七段との12番勝負です。名人戦がやや早めに終わったので,棋聖戦に集中できる状況ができました。勢いに乗っている佐々木七段とは好勝負が期待されます。

« 熊本総合運輸事件 | トップページ | 大雨警報下の授業 »

将棋」カテゴリの記事