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2023年5月25日 (木)

AI信仰は悪か?

 前にも書いたように,鉄腕アトムやドラえもんを生んだ国である日本では,欧米に比べて,AIやロボットへの抵抗は弱いと言われています。そもそも自然に対しても,それを克服の対象としてきた欧米と違い,日本人は共存することを重視するメンタリティをもってきたわけです。災害の多い国土において自然に対して畏敬の念をいだき,神まで宿らせ,いわば受け身の姿勢で臨んできたのが,私たち日本人なのです。AIやロボットについても,もしかしたらこうした自然に対するのと同様の姿勢で接しているのかもしれません。
 ところで朝日新聞デジタルに今日アップされていた戸川洋志氏の「日本のAI信仰に哲学者が思うこと ChatGPT熱が高まる国で」というインタビュー記事は,こういう日本人のAI信仰について警鐘を鳴らす内容で,興味深く読みました。そこでは, ChatGPTに対して注意が呼びかけられていて,とくに「考える」ことへの悪影響を心配されています。割とよくある批判であり,かつてのテレビをみると白痴になるという議論などと共通するもので,新しい知的技術が出て大きな影響力を及ぼすようになると,従来の知的行動のパターンが変わってしまい,それを警戒する声が出てくるのは当然のことです。実際,テレビは悪影響があったでしょうし,私も子どもたちにテレビを無制限にみせるべきではないという意味で,危険なものだと思っています。ただ,ネットが普及するまでは情報収集手段としてきわめてすぐれていたことも否定できないでしょう。 
 ChatGPTについても,当然悪影響はあるでしょう。しかし,テレビと同じなのです。結局は,使い方であり,それを教える教育が大切ということです。ChatGPTのデメリットは,誰もがわかっていることです。面白がって使っていると知らぬ間に思考力が低下してしまう危険性があることは容易に予想できます。ただ,そういう危険性を十分に認識したうえで,それをどううまく使いこなすかを考えるということこそ,私たちがやらなければならないのです。欧米はAIを規制する方向に向かっているのに日本人は能天気だという意見もありますが,それは日本人の西洋コンプレックスの一つのように思えます。戸川氏がそうだというわけではありませんが,欧米がどうかというよりも,AIへの拒否反応が弱い日本人の特性を活かして,いかにしてリスクをうまくコントロールしながら,この魅力ある技術をうまく利活用して,社会課題の解決に活かし,その面で世界をリードする国になるかを考えることが大切ではないかと思っています。

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