藤井デー
今日は藤井デーでした。NHK杯の決勝戦は,A級昇進を決めたばかりの(収録番組なので,実際の対局はその前ですが)佐々木勇気(新)八段相手に快勝でした。あまりにも強すぎます。最後は美しく詰ましました。これでちょっと苦手にしていたNHK杯でも初優勝し,なんとこれで今年度は一般棋戦(朝日杯,銀河戦,JT日本シリーズ,NHK杯)は4つ全連覇となりました。これは羽生善治九段の全盛期でも達成できなかった偉業です。2011年に羽生九段(当時は,棋聖と王位の二冠)は,銀河戦以外の3棋戦で優勝したことがありましたが,それが最高でした。藤井竜王(五冠)は,あっさり達成してしまいました。
そして夜には,棋王戦第4局。前回,まさかの詰み逃しで敗れましたが,その影響は感じられません。渡辺明棋王(名人)は,いろいろ仕掛けてきましたが,冷静に受け止め,最後は相手の攻めをかわして,一気に勝勢を築いてしまいました。これで3勝1敗で,渡辺棋王の11連覇を阻止し,六冠達成です。渡辺は最後のタイトルの名人の防衛をかけて,4月から藤井竜王(六冠)の挑戦を受けることになります。
藤井竜王は,先の王将戦でも,羽生善治九段に勝ち,防衛を決めていました。羽生九段は2勝2敗まで行って善戦しましたが,力尽きました。しかし,親子ほどの年の差のある藤井王将相手に,必死に挑んでいく姿は将棋ファンに感動を与えました。羽生九段は,藤井をライバルと感じ,そしてその影響を受けて,さらに強くなっているような印象があります。このことは,順位戦の最終局で,A級昇級を決めた中村大地(新)八段に,快勝したことにも現れています。
五冠をすべて防衛した藤井竜王は,今日,六冠となりました。そして,これから七冠に挑むことになりますが,その間も防衛戦は続きます。叡王戦の挑戦に名乗りを上げたのが,菅井竜也八段です。A級順位戦では藤井竜王(六冠)に勝っており,勝負はどうなるかわかりません。藤井竜王(六冠)からひょっとしたらタイトルをとれるかも,という期待を最ももたせてくれるのは,現時点では,将棋のスタイルがまったく異なる振り飛車党の菅井八段かもしれません。
叡王戦以外にも,王位戦と棋聖戦がやってきます。もし名人を奪取し,他棋戦を防衛すると,残すは永瀬拓矢王座のもつタイトルだけとなります。2022年度は無敵の強さをみせましたが,2023年度は,どうなるでしょうか。夢の八冠が実現するでしょうか。そんなに甘い世界ではないと思いますが,藤井竜王(六冠)は進化し続けているので,実現可能性はかなり高いと思われます。