「将棋界の一番長い日」ではなかった?
3月2日に行われたA級順位戦の最終局は,トップを走っていた広瀬章人八段と藤井聡太竜王(五冠)がともに勝って7勝2敗となり,プレーオフとなりました。竜王戦での対局の再現です。竜王戦では広瀬八段は敗れたとはいえ,藤井竜王から2勝しており,1発勝負ですので,どうなるかわかりません。他にプレーオフ進出の可能性があった豊島将之九段と永瀬拓矢王座はともに勝ちましたが,届きませんでした。来期の順位は3位以下は,豊島九段,永瀬王座,齋藤慎太郎八段,菅井竜也八段,稲葉陽八段,佐藤天彦八段の順となり,その下にB級1組から上がってくる2人が入ってきます。
これで藤井竜王は,来週は,渡辺明棋王(名人)との棋王戦(3月5日),羽生善治九段との王将戦(3月11日~12日)というタイトル戦と並んで,名人への挑戦をかけてのプレーオフ(3月8日)という怒濤の1週間となります。おそらくその間にNHK杯の準決勝・決勝も収録がされているはずです(もう終わっているかもしれません)。
それにしても昨日の藤井竜王は強かったです。稲葉八段相手に19時台に勝負を決めてしまいました。圧勝でした。この日は一斉対局で,「将棋界の一番長い日」と呼ばれているのですが,それは最終局であることから,名人挑戦者が決まると同時に,最高峰のクラスからの降級者も決まるということで,熱戦が繰り広げられ,日をまたぐことも多かったからです。いろいろなドラマもあるのですが,今期は降級者がすでに決まっているため,名人挑戦者が決まる可能性があるということだけが注目でした。稲葉八段は名人挑戦も降級も関係しない気楽な立場であったのですが,見所をつくれなかったのは残念です。それだけ藤井竜王の力が頭抜けているのでしょう。昨日敗れた齋藤慎太郎八段,菅井竜也八段,それに降級が決まっていて,昨日も敗れた糸谷哲郎八段と並んで,関西の中堅棋士には,もう少し頑張ってもらいたいです。
今日は谷川浩司十七世名人が,関西の若手の徳田拳士四段相手に93手で勝ちました。踏み込みのよい寄せ(光速とまでは言えないかもしれませんが)で快勝です。順位戦(B級2組)の最終局は,すでに昇級を決めている大橋貴洸七段が相手であり,おおかたの予想は大橋勝ちでしょうが,なんとしても勝って少しでも順位を上げて今期の順位戦を終えてもらいたいです。