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2023年3月31日 (金)

マイホームの夢?

  少子化対策として,住宅金融支援機構の住宅ローンである「フラット35」の金利を子育て世代に引き下げる優遇策を導入することを政府が検討しているそうです。なぜこれが少子化対策かというと,若い世代の住宅取得や生活の負担を軽減できて,安心して子育てができる環境づくりになるからだそうです。これで助かる人が多いのなら良いような気がします。ただ,これからは,住宅は持つのではなく,借りる時代になっていくと思っていて,いまの子育て世代がどう考えているかはよくわかりませんが,ひょっとするとあまり響かない政策かもしれません。
 話は違いますが,日本経済新聞の312日の文化欄に掲載されていた作家の篠田節子さんのエッセイ「小市民の夢の跡」は,両親が夢を実現して取得したマイホームを相続することになった苦労が書かれています。ご自身はあまり家にこだわりがなかったようですが,相続だと無理やり引き継がされるので,困惑する人もいるでしょう。売ればいいといいますが,売るのも簡単ではありません。そもそも相続手続が大変でしょう。
 マイホームは,いまなお多くの人の憧れなのでしょうかね。篠田さんのご両親はそうだったようです。ただ,家をもつと,近所づきあいが深くなるし(それが好きならよいですが),修理も自分でやらなければならず,固定資産税もかかってきます。住宅ローンはいくら優遇されても,重くのしかかることになるでしょう。レンタル住まいは,家賃はかかるけれど,面倒なことがかなり少ないです。自分では手に入らないような高級マンションも,賃貸(分譲貸し)に出されることも少なくなく,そうなると少し背伸びをすれば手の届く範囲で借りられることもあります。さらに重要なのは,ライフスタイルの変化に応じて自由に住む場所を変えられることです。広い家が必要なときもあれば,そうでなくなるときもあります。二階に登るのが大変ということもあるでしょう。最後は施設に行くことも考えなければなりません。マイホームも,不要となれば,売ればよいといえそうですが,繰り返し述べますが,売買はそれほど簡単なことではありませんし,大きな損をすることもあります。何千万円もする物の売買は,フリマでの売買とはまったく異なるものです。
 モノよりコトという世代は,どんなに優遇されても,多額の借金を背負うことになるマイホーム購入より,コトに多くの消費をあて,フットワークを軽くできるレンタル住まいのほうを望むのではないかと思います。
 今回のフラット35の優遇策については,不動産業界が泣きついて少子化対策のプランに入れてもらったのではないかと邪推したくなるくらい,個人的には違和感がありますね。

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