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2023年3月 8日 (水)

仲介業のデジタル化

 今朝の日本経済新聞でFinancial Times の米国版のeditor-at-large のジリアン・テット(Gillian Tett)さんのAI,不動産業界に新秩序」という翻訳記事が掲載されていました。不動産仲介事業にはレントシーキング(rent seeking)が広がっているが,AIなどの先端技術が入ることにより,今後はそれが難しくなり,手数料も下がることになるのではないか,ということが書かれています。投資家は,この事業への投資について慎重であるべきかもしれないということです。
 日本でも,不動産仲介事業の手数料が高いという不満の声はネットをみるとかなり広がっているようです。これに対しては,プロの事業者を活用するメリットを説く投稿もあり(たぶん業界関係者からのもの),素人には悩ましいところがありますが,いずれにせよ,こういう不満があることは事実なのであり,先端技術の活用の余地は十分にあり,大きなビジネスチャンスがあることは間違いありません。
 株式市場でもネット証券を中心に手数料を思い切って引き下げると,個人も参加しやすくなるというのと同様,不動産市場の活性化は,限られた土地の有効活用のためにも必要なことで,そこではデジタル化にともなう手数料の引き下げは有力な方法となるように思います。社会課題の解決につながるというところに,このビジネスの大義があります。
 普通の人は,不動産売買にせよ,賃貸借にせよ,仲介事業者を通さなければ,売主と買い主,貸主と借主が個人で交渉をしなければならないことになるので大変そうだと考えているでしょう。私もそうです。しかし,これもうまいデジタルプラットフォーム(digital platform)をつくることができれば,克服できないことではないと思います。あとは,私たち自身が,これはプロに任すのは当然という意識を改めることかもしれません。
 少し状況は違いますが,相続手続は司法書士に任せるというのも常識のようにも思えますが,私は今回の相続は簡単なものであったこともあり,自分ですべてやりました。面倒くさいことでしたが,自分でできることは自分でやって出費をおさえたいという気持ちから,頑張りました。幸いなことに,法務省などのホームページにかなり情報があり,不明な点は電話で確認をしていけば,丁寧に対応してもらえました。さらに,実際の手続ではいろいろとミスをしましたが,これもまた丁寧にサポートしてもらえました。実は相続以外にも,社会保険関係の手続で,書類の不備などのミスをしましたが,これも役所の人が丁寧にサポートしてくれました。しかも,ほとんどすべてムーブレスでやることができたことも助かりました。一つだけ,法定相続情報一覧図については,申請書に印鑑を押し忘れていたので,法務局に行きました。ただ,印鑑を押して補正したあと,その場ですぐに一覧図を受け取ることができました。返信用封筒には,本人受取限定書留の高い切手代を貼っていたのですが,それが不要となり返却してもらえたので,結局,費用の節約となり助かりました。
 インターネットでの情報提供というデジタルな側面と,役所側の人の丁寧な対応というアナログ的な側面とが合わさって一人ででてきたのだという結論になりそうですが,もとはといえば印鑑にこだわるところに問題があったともいえます。戸籍の収集ももっと簡単にできるはずです。こういうところがもっと効率化すれば,役所の人の仕事も減り,国民の負担も減り,こうした手続はオンラインでもっと簡単にできることになるでしょう。それは同時に,司法書士の方に,こんな事務的な細かいことではなく,もっと大きな仕事に専念してもらえることにつながると思います。

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