「ルフィ」事件に思う
無慈悲な連続強盗が,世間を震撼させています。この犯罪は,ちょっと金持ちそうな家だから入ってみたというようなものではなく,確実にそこに金品があるという情報をつかんでやっていたようです。問題は,その情報がどこから流れてきたかということです。
犯罪者は,あの手この手で資産情報をつかもうとするのでしょう。そう思うと,日頃でも,いろいろな理由で他人が自宅に入り込んでくることが怖くなってきます(購入した大型家電の搬入,エアコンの清掃,水道の修理など)。私も含めて多くの人は,この家はお金がないということがわかるでしょうから,かえって安心かもしれませんが,資産家となると危険でしょう。とくに高齢者,一人住まい,資産がある(たとえば,家に大きな金庫がある)という情報があれば,狙われてしまいます。狙われてしまうと,むこうは暴力を使っても,さらに殺してさえもよいと思っているのですから,どんなに対策をとっても限界があります。
名簿などから情報がもれることもあります。大学の研究室にマンション投資の営業電話がかかってくることが,かつてはよくありましたが,誰かが名簿を横流ししているのです。住所や電話が書かれている名簿はつくるべきではないでしょうね。名前とメールアドレスで十分だと思います。
クレジットカードの作成やマンションの部屋を借りるときなどに,資産情報の提示を求められることがありますが,これも気持ち悪いです。情報銀行に個人情報を預けて,必要な情報はそこに問い合わせてくださいとすることができればよいと思っています。もちろん情報銀行のセキュリティは万全である必要があり,また情報銀行には顧客の個人情報を提供した先の企業が不正な取扱いをしないかをしっかり監督してもらう必要がありますが,そうした仕組みが完備されているならば,個人は日常生活では,自分で個人情報の開示をする必要性から解放され,さらに自分の個人情報がどこからどう伝わったか追跡できるようになるでしょう。個人情報を完全に隠して生活することができない以上,個人情報の管理を安心できるプロに託すことができるシステムの必要性は,今回の事件で改めて確認されたのではないかと思います。最近,情報銀行の話をあまり聞かないような気がしますが,どこまで進んでいるのでしょうか。
いずれにせよ,今回の「ルフィ」事件は,その黒幕が誰かも含めて全容を解明してもらわなければ困ります。日本に住むことの最大のメリットは,安全性にありました。それが昼間,「闇バイト」のサイトで高額の報酬に群がって集まってきた互いに見ず知らずの男たちに,白昼に自宅にいた90歳の老女が撲殺されるなどという野蛮なことが起こることを許してはなりません。しかも,それは計画的にされていて,実行者は半ばゲーム感覚でやっているようなのです。Philippineから好き勝手にされていたことも含めて,日本の警察の威信が問われています。岸田首相は,Philippine政府に,インフラ整備として6000億円の支援をするそうですが,その前に,公務員が買収されて,日本の重大犯罪に関わっていることについて,きちんと言うべきことを言っていたかが心配です。朝日新聞デジタルでは,「日本政府関係者によると,首相はフィリピンを拠点とした特殊詐欺グループの幹部が日本に移送・逮捕された事件への協力に謝意を示した」と書かれていました(https://www.asahi.com/articles/ASR295GNFR29UTFK00Q.html)が,これだけをみると,政府の対応はちょっと甘すぎるのではないかと思います。
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