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2023年2月 9日 (木)

「反省すべきは反省する」?

 国会での児童手当の支給における所得制限撤廃をめぐる議論のなかで,かつて自民党のある議員が,同様の提案をしていた民主党の議員に対して,「恥を知れ」などの侮蔑発言をしたことがあったことが追及されて,「反省すべきは反省する」という返事をして,それで一件落着(?)したようです。しかし,政治家がよくやるこの種の発言には腹立たしさを感じます。何を反省すべきかについて示さない限り,答えにならないのですが,政治家の世界ではこれでよいのでしょうか。これでは世間には通用しないでしょう。
 とはいえ,もう少し突っ込んで,「反省すべきとは,どういうことか」と質問すると,「それは適切に判断していく」というような答えが返ってきそうです。もちろんこれも,適切性の判断基準が何かが示されなければ,答えになっていないのです。
 言葉のなかに「反省」とか「適切に」とかそういうものが入っていれば,何となく前向きな感じがするのですが,その場だけの印象で,実は何も答えていないということがあるのです。
 私たちの業界では,研究会や講演で,何か質問をしてもらえるのは大変ありがたいことで,これに真摯に答えるのは当然のことです。とはいえ,質問の意味がよくわからないときもあります。そのようなときは,質問の趣旨を自分なりに解釈して,質問はこういう趣旨であると考えますという前置きをしたうえで,答えるようにします。また、その場で答えるのが難しいようなときは,自分の答えることができる質問内容に置き換えて,答えるようにしています。そして,そのときは「もし,ご質問の趣旨にあった答えができていなければ申し訳ありません」という趣旨のことを言うようにしています。
 政治家の世界は,研究者の世界とは違うので,質問にはきちんと答えなくてもよいのかもしれませんが,でもこれは記者の質問力とも関係しているような気がします。ネットでみることができる内閣官房長官記者会見は,すべてみているわけではありませんが,緊張感がなく,つまらないものです。これは官房長官もダメですが,記者もダメですね。なんとなく政治家の言うことだから,意味不明でもよしとしようという私たちの甘い態度が,政治家がまじめに答えない(官僚に適当な文章をつくらせて読むだけでよい)という情けない政治文化を作ってように思えます。しつこく政治家の曖昧な発言を追及していくジャーナリストがでてきてほしいですね(もちろん,私の知らないところで,たくさんいるのでしょうが)。

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