紅白歌合戦
年末は,紅白歌合戦を,ダラダラと全部観てしまいました。それにしても,司会の一人の橋本環奈の圧倒的な存在感に驚きました。本人は歌も踊りもみせてくれて,歌手たちから完全に主役の地位を奪っていました。最初から最後まで彼女から目が離せなかったですね。すごいタレントがいたものです。一方,歌手のほうはどうかというと,演歌歌手がきちんと歌わせてもらっていないな,という印象をもちました。もっとも,さすがに石川さゆりは例外です。彼女の「天城越え」を聴かなければ年を越せないというくらいの国民的名曲ですからね(歌詞は,かなり強烈な内容なのですが)。一方で,女性陣は国籍不明で同じような歌を同じような踊りをしているグループが何組も出てきたのでびっくりしました。○○坂46は,これに比べると,少しおぼこい感じがしました。もちろん,おじさんが喜ぶような歌手も登場していて,鈴木雅之,安全地帯などはよかったし,ちむどんどんの主題歌の三浦大知の燦燦もよかったです。サプライズは,篠原涼子の曲のときに,ピアノ演奏をしながら控えめにハモっていた小室哲哉でしたね。小室メロディが久しぶりに紅白で聴けてよかったです。加山雄三もあの年齢であそこまで声がでるのはさすがでした。昨日も書いたユーミンが,若かりし頃の荒井由実とデュエットするのは,AI時代の紅白を先取りするもので,これも企画が素晴らしかったです。
ただ,個人的に一番よかったのは,桑田佳祐らの「時代遅れのrock'n'roll band」でした。曲を初めて聴きましたが,歌詞がとても深い内容で共感できました。ほんとうは全然「時代遅れ」ではないし,本人たちも本音ではそう思っていないと思います。でも若い人たちをリスペクトして,ちょっと引いた感じで「時代遅れ」と言っておこうということなのでしょう。
大切なのは,自分たちのことより,次の世代を担う,自分たちの子や孫のことです。戦争は,ほんとうに愚かなことです。戦争のために,私たちが次の世代に何も残せないのではないかという不安が広がっています。桑田さんらの世代は,戦争は知らないけれど,戦争の悲惨さは知っている世代でしょう。私も少し下の世代ですが,ほぼ同じです。彼らは,軍靴の音が聞こえ始めている現代に,自分たちは小さくても(彼らはほんとうは小さくないのですが),何かできる方法で平和と希望を訴えたいし,みんなも何か行動を起こすことが大切なのだ,ということを言いたかったのではないかと思っています。