少子化対策
岸田首相は,その言葉は撤回したのかもしれませんが,多くの人が違和感を覚えたであろう「異次元の」少子化対策。岸田さんは,大言壮語が多いようです。「新しい資本主義」もそうです。とりあえず何かやっている感を出して,詳細は後付けで考えるという杜撰な政策が多いのではないでしょうか。
それにしても,「異次元」というのは,日銀の黒田総裁の金融政策の「異次元緩和」が失敗に終わったとみられているなかで,また同じ「異次元」という言葉を使うセンスの悪さには,あきれてしまいます。
ところで,日本経済新聞の1月5日の「エコノミスト360°視点」で,中空麻奈氏が,少子化対策として,①経済支援の見直し,②育児休業の柔軟性の向上,③教育の改革,④現物給付の一環としての住居費の負担(住宅の提供)を挙げていました。
②については,「真に必要な育休は夫婦の一方がピンチの時に,機動的に取れるものではないか。男性育休の取得率という数値だけを競うような風潮には違和感を覚えてしまう」と書かれています。通常の勤務態勢において育休を機動的にとれるようにすることは,かなり難しいような気もします。テレワークの推進が,この問題の解決にも有効でしょう。男性の育休取得率の数値争いの不毛さについては同感です。
③は教育費の負担のことのようです。主張内容には,よくわからないところもあったのですが,教育費を引き下げることは,この国の教育の重要性という観点から必要な政策であり,少子化とは無関係に進めるべきでしょう。
④の住宅提供は重要です。今後,空き家が増えていくことも予想され,住宅状況は改善する可能性もあります。「空き家をリノベーションし,子育て世帯に格安で貸し出すのはどうか」というのは面白い提案です。
エコノミストの方の話なので,全般的にお金の話が多くなっているのですが,それに乗って言うと,不妊治療への助成が重要でしょう。不妊の人が増えていると言われていますが,不妊治療の費用はものすごく高いようです。助成金は,最近導入されていますが,それをより拡充して,子どもを欲している人が,もっと子どもを持ちやすくする施策は,少子化対策に効果的だと思います。子どもを欲しようとする方向へのインセンティブよりも,子どもをすでに欲しようとしている人が,お金の問題で不妊治療の開始や継続を断念したりしないですむようにすることのほうが,施策に無駄はなく,効率的な気がします。不妊治療は現実にはお金持ちしかできないところもあり,贅沢なことというイメージもありますが,それが誰にでもできるようにすることが大切なのです。
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