移住者を集めるよりも……
昨日の過疎の話の続きですが,ICTを活用すると,仕事の問題だけでなく,そこで住んでいくうえで重要な医療や教育の問題も解決できます。オンデマンドバスなどにより,公共交通機関の問題も解決できるでしょう。そうなると良好な自然環境などに囲まれるというメリットが大きくみえそうです。ただ,これは都会人の幻想であり,実際には,地方には様々な習慣(因習)があり,プライバシーはなく,生活しづらいことも多いようです。地方というのは静かな場所というイメージもありますが,鳥の声,その他の動物の声,海の波,風,川の流れの音などは意外にうるさく,慣れていなければ睡眠を妨げられてしまうこともあるようです。現実は甘くないのであり,誰もがそう簡単に地方の生活にフィットできるわけではないのでしょう。村おこしは,ICTなどの技術的な面だけでなく,地方の人と移住を考える都会の人の双方の意識のすりあわせがうまくいかなければ成功しないものかもしれません。
こう考えると,過疎地では,住む人を集めるのではなく,むしろ旅行者を集めることで村おこしをするほうがよいのかもしれません。外国人は,日本にしかないみられない物を観に来ているのであり,最初の訪問地は京都や奈良かもしれませんが,リピーターとなると,日本の鄙びた村を訪問する人も多いでしょう。私がイタリアの田舎の町に行きたがるのと同じです(Milanoの友人に,SiciliaのCastelmolaに旅行したと言ったとき,「なんでそんなところに行ったんだ」と怪訝な表情をされました)。一時滞在者に来てもらってお金を落としてもらい,それでインフラを整備して,その地方に住んでいる人も持続的に生活できるようになるというのが,理想的なのかもしれませんね。
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