世界共通の賃金制度
グローバルに展開している企業において,国内外関係なく社員の賃金制度を共通にするということが,1月13日の日本経済新聞で紹介されていました(記事自体は,焦点のはっきりしないものでしたが)。ユニクロがその代表例で,その結果として,国内の社員の賃金が大きくアップすることになるようです。一般に,賃金のアップは,本人のモチベーションを高め,有能な人材のリテンションに役立つでしょうが,それと同時に,将来的には賃金相当の働きになっていなければ解雇や降格なども行われることになるでしょう。これは,最近流行のジョブ型に整合的な働き方といえます。賃金をジョブに連動させると,どの国で働いていようが,同じジョブなら同じ賃金となります。これに地域に応じた手当なども付加しないとなると,これこそ同一労働同一賃金の世界になるでしょう。同一労働同一賃金は,法律により実現するのではなく,こういう賃金制度のグローバル化に応じて実現していくものだというのが私の主張です。法が人為的に介入すると,副作用が起きてしまうのです(拙著『非正社員改革ー同一労働同一賃金によって格差はなくならない』(2019年,中央経済社)も参照)。
ところで,いまやジョブ型とはいえば日立というくらい日立製作所は,ジョブ型の代表的企業という位置づけになっているようです。経団連の前会長で日立出身の中西宏明氏の言葉を,私は『デジタル変革後の「労働」と「法」』(2020年,日本法令)の冒頭に日本型雇用システムの変革を象徴するものとしてとりあげていました。この企業は,そういう改革マインドが強い企業なのでしょう。ただ,これはまだ国内では例外的であり,もう少し保守的な企業にまでこの波が及んできて,はじめてほんとうに日本企業も変わったということができるのでしょうね。
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