震災と谷川王将の防衛
あの震災から28年経ちました。先日,谷川浩司17世名人の話が,NHKのニュースで紹介されていました。谷川さんも震災にあい,自宅が被害を受けて,被災者として避難して人々に助けられたそうです。そういうなかでも,将棋ができる喜びを感じ,神戸の人のために戦ったと言っておられました。あのとき谷川さんは王将のタイトルホルダーでした。ちょうど1月のこの時期は王将戦です。いまも藤井聡太王将(五冠)と羽生善治九段がタイトル戦を戦っています。28年前も羽生九段(当時は六冠)が挑戦者でした(羽生さんはすごい)。羽生六冠は,当時,空前の記録である七冠目前で,その勢いからして七冠実現の可能性は濃厚でした。この年度,羽生さんは,名人と竜王を奪取しすでに六冠となっており,その間に棋聖と王座で,谷川王将の挑戦を退けていました。谷川ももちろんトップ棋士でしたが,羽生さんがその前に立ちはだかっていたのです。この流れからすると,王将戦の挑戦者となった羽生六冠が,残された最後のタイトルである王将を奪取する可能性が濃厚でした。しかし,フルセットの末,谷川王将がタイトルを防衛しました。震災をはさみながらのタイトル防衛に,多くの人は感動しました。
次の1995年度(1995年4月からの1年間),羽生六冠はすべてのタイトルを防衛し,再び王将戦の挑戦者になりました。他の棋士は何をしていたのかと言いたいところですが,羽生六冠は現在の藤井竜王(五冠)以上の勢いがありました。震災から1年後の1996年,再び両者が相まみえることになった王将戦は,結局,羽生六冠のストレート勝ちで,同年2月14日に史上初の七冠達成となりました。
それでも,その前年,当時の羽生のすさまじい勢いを,震災下の谷川さんはかろうじて食い止めて,1995年3月24日に大激戦の末に防衛をはたした谷川さんの勝利は,多くの人の記憶に深く刻まれていることでしょう。
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