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2022年12月25日 (日)

専門業務型裁量労働制の同意義務

 この1週間ほどは,ゆっくり新聞を読むことができていなかったので,今日は,少しまとめて日本経済新聞の電子版を読みました。Mutiの「私の履歴書」が一番楽しみなのですが,それはさておき,ふと目にとまったのが,12月21日の「『専門型』も本人同意義務」というタイトルの記事です。専門業務型裁量労働制における同意義務について,2023年に政省令を改正し,24年に導入すると書かれていました。政省令の改正となっているので,労働基準法の改正ではないということでしょうね。
 ビジネスガイドで連載している「キーワードからみた労働法」の「第185回 裁量労働制」でも労働者の同意についてはコラムで取り上げていました。これは法的にはかなり難しい問題です。企画業務型裁量労働制でも,その導入のために労働者の同意を得る義務があるとするような規定ぶりではなく,労使委員会が,使用者が労働者の同意を得なければならないことを決議すると書かれているだけなのです。専門業務型裁量労働制では,厚生労働省令(労働基準法施行規則)の改正によるということでしょうかね。
 労政審の労働条件分科会の資料をみると,「本人同意を得る際に,使用者が労働者に対し制度概要等について説明することが適当であること等を示すべきではないか」という意見もあるとされています。労働者に十分に説明して納得同意を得たうえで制度の導入をしたほうがよいのは当然なので,この意見に応える形で法改正がなされることには賛成です。ただ,せっかく法律の専門家でない人も審議会の委員に入っているのですから,非法律家の目から,労働基準法の規定をもっとわかりやすくしてもらえないかという意見を出してもらえたらいいですね。世間では,本人同意義務というのが,どのような法理論構成で認められるかについて,わかっている人はほとんどいないでしょうから。

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