藤井竜王防衛
藤井聡太竜王(五冠)は,広瀬章人八段をやぶり,4勝2敗で竜王位を防衛しました。広瀬八段も善戦したと思いますが,藤井竜王は強かったです。これでタイトルは通算11期となりました。すごいスピードで獲得タイトル数が増えています。棋戦優勝も6回です。通算勝利数も295勝となり,たとえば9歳年上で,バリバリのA級棋士で,2年連続の名人挑戦をしている斎藤慎太郎八段の291勝を早くも追い抜いています。斎藤八段も通算勝率は6割5分くらいで高いのですが,藤井五冠は8割をはるかに超える異常な高さです。タイトル保持者は予選などを戦わないので棋戦数は減り,それだけ勝利数は減りますが,この勝率を維持すれば,どんどん勝ち数も増えていくでしょう。
昨日,藤井竜王は,棋王戦で羽生善治九段と戦いました。王将戦の前哨戦となるものです。藤井竜王は,終盤,勝ちをしっかり読み切って,みごとに攻めきりました。攻めの鋭さと正確さは驚くべきものです。これで棋王戦の挑戦者決定戦に進出することを決め,すでに1回負けている佐藤天彦九段と再戦します(敗者復活戦による)。藤井五冠が,渡辺明棋王に挑戦するためには2連勝しなければなりません。佐藤九段にいったん負けた段階で4連勝しなければ挑戦権を得られない状況だったので,きびしそうでしたが,伊藤匠五段と羽生九段に連勝したので,あと2連勝すればよいところまで,こぎつけました。こうなると実現可能性が高くなってきましたね。銀河戦でも永瀬拓矢王座に勝ってベスト4に進出です。
羽生九段は,王将戦の挑戦者決定リーグでは全勝で好調でしたが,順位戦では,近藤誠也七段に負けて3勝5敗となり降級もちらつきはじめました。あの羽生九段でもB級1組で戦うことは,かなり厳しくなってきているのでしょうか。昇級レースでは,中村太地七段が7勝1敗でトップを走っています。負けた郷田正隆九段は1勝7敗で残留が苦しくなりました。
棋士編入試験に挑戦中の小山怜央アマは,初戦で現在絶好調の徳田拳士四段に勝ち,幸先のよいスタートを切りました。小山アナは,今日も,朝日杯の二次予選で,若手強豪で次のA級棋士候補の一人である千田翔太七段に千日手後の指し直し局を制しました。同日にあった2局目の広瀬八段には,熱戦の末敗れましたが,途中で評価値では優勢になっており,その実力を十分にみせてくれたと思います。小山アマは,すでにプロ並みの実力があることは間違いないと思いますが,試験を無事に突破できるか注目です。
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