「鎌倉殿の13人」のラスト
「鎌倉殿の13人」は,衝撃のラストと予告されていましたが,最後にとどめを刺したのが姉の政子であったというところが,たしかに衝撃的でしたね。その前の回で,後鳥羽上皇から義時追討の院宣を個別に受けた御家人が動揺するなか,義時は自分の首を差し出して戦いを回避しようとするのですが,そのとき政子は有名な演説をして御家人に鎌倉を守るために上皇と戦うよう説得します。こうして承久の乱が起こるのですが,泰時らの活躍で上皇側は敗れ上皇は隠岐に島流しとなります。政子は義時の命を救ったのです。しかし,その後,義時の妻のえが,義時の後を継ぐのが先妻の子である泰時であり,自分の子の政村が執権の座を継げないことに恨みをもって,義時に毒を飲ませます。毒を渡したのは,盟友の三浦義村であり,義時は義村にも裏切られたことを知ります(でも義時が義村に最も怒ったのは,女はキノコが好きだという義村の言葉が嘘だということです。このキノコが伏線となって,最後は毒キノコを食べて義時が死ぬのでは,という予想もあったようですが,三谷さんは,そんな単純なストーリーにはしなかったですね)。
義時は衰弱しますが,泰時の治政を盤石なものとするために,もう一人,皇族(おそらく4歳の仲恭天皇)を殺そうとしていました。政子は,泰時はもう立派にやっていけるのに,義時は,それを理解できず,息子かわいさに,この世の地獄を全部引き受けるつもりでいました。政子は,もうこれ以上,義時に殺人をさせないようにするためでしょうか,義時が政子に取ってきて欲しいと頼んだ薬をわざとこぼし,義時が飲めないようにします。こうして義時は,政子の手によって,死ぬのです。しかし,これは義時が,頼朝と政子の子である頼家までを殺していたことを知った政子による,息子のための処刑であったようにも思います。
頼朝がつくった鎌倉を,縁者としての地位を最大限に利用し,またライバルを次々とたおして執権家としての地位を得た北条氏。その刃は源氏の嫡流にも及んでいたのです。政子は自分の手で,北条氏のために義時が犯してきた罪を裁き,過去を清算して,泰時以降の北条家の繁栄を願ったのでしょう。
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