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2022年11月18日 (金)

割烹料理からイタリアンに

 伝統的なことは男性が独占し,女性は排除されたので,女性は新しいものに関心を向けざるを得なかったという話を聞いたことがあります。
 割烹店など一流の高級料理店は,男性が料理人で,客をもてなすのは和装の女性というのが定番です。これは現在でも変わりなく,日本文化のようになっていますが,このスタイルは,明らかに客が男性であることを想定して展開してきたものと思われます。伝統的なものは男性好みにできあがっているのです。そこから排除された女性が,イタリアンやフレンチなどの洋食を好み,そして,それが徐々に広がっていったのです。
 もう15年前くらいになりますが,私が当時最年少であった会で、参加者のほぼすべてが男性という宴会で,事務局にイタリアンレストランを提案すると,そんなところは年輩の方は受けいられないという理由でいったん拒否されたことがありました。「イタメシ」という言葉もあり,カジュアルな印象も強かったのでしょう。ちゃんとした宴会は,膳のある和食でなければならないという意識は,いまはどれほど残っているかわかりませんが,少し前までは主流でした。おじさんたちは,伝統的なものしか味わわないなか,その外にある多くの美味しいものを食す機会を逃していたのかしれません。結局,その会ではイタリアンの提案がとおりました。高級イタリアンのすごさを知ってしまってからは,イタリアンの提案を拒む人はいなくなりました。中華,和食,イタリアン,フレンチとバリエーションが広がり,宴会も楽しくなったのです。
 伝統的によいものは,男性と一部の女性が独占してきたという図式で世の中をみると面白いです。雇用の世界もそうでしょう。日本型雇用システムの最大の受益者は,男性正社員でした。均等法後は,そこに一部の女性が加わりました。日本型雇用はいわば「割烹料理」です。一方で,「イタリアン」も「スパニッシュ」もいいよと言って自由な働き方をする女性が,フリーランスには多いのです。伝統にこだわらず,自分で「料理」の味を確認し,それがよいと思えばそれを楽しむというのが,実はフリーランス的な働き方の醍醐味なのかもしれません。男性たちは,フリーランスの人は「割烹料理」を食べたいと言っているのだから,食べさせてあげなければならないというような上から目線の議論をしがちですが,それは誤解なのです。彼女たちが求めているのは,何を食べようが,基本的なルールは同じにしてね,ということです。もちろんフリーランスの中には,女性だけではなく,男性も最近は増えてきています。少し前までは,自分はフリーランスでも,息子はやっぱり会社員でいてほしいという女性もいました。しかし,そういうことにならないようにしなければなりません。
 宴会が「割烹料理」から「イタリアン」を含むものに移行して多様化していったように,実は仕事の世界も,伝統的な日本型から,フリーランスも含めた多様なものへ移行していくことになるでしょう。イタリアンも,サイゼリアから,Sabatiniまでいろいろあるように,フリーランスの世界もいろいろです。そうした多様化の先陣を走っているのが女性たちです。
 「割烹料理」を中心に据える発想から脱却することが,多くの人が自由に働ける社会を実現するための第一歩です。

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