大会批判は妥当か
サッカーのワールドカップのQatar大会は,開幕戦でオフサイドのテクノロジー判定があって驚きました。前大会から入ったVAR(Video Assistant Referee)もサッカーを変えたと言われていますが,人間の眼ではチェックできないところをしっかり確認できるということで,以前のサッカーにあった見つからなければよいというような狡猾なプレーが減ることになるのでしょうかね。将来的には,人間の審判なしのゲームも可能かもしれません。ただ,ファールの判定基準をAIに学習させるのは容易ではないかもしれませんが。
Saudi Arabia がArgentina に勝った試合はびっくりしました。後半から観たのですが,いきなり同点,逆転となって,そのあとは試合に釘付けになりました。大番狂わせなのでしょうが,Saudiが堂々と勝ちきった感じです。スタジアムの応援も大きかったかもしれません。中東のチームと戦う相手は大変ですね。
スタジアム外ですが,FIFAのInfantino 会長(イタリア系スイス人)は,Qatar大会への批判が高まることについて,"For what we have been doing for 3,000 years around the world, we should be apologizing for the next 3,000 years before giving moral lessons“,と述べました。Qatarでスタジアム建設に従事した移民労働者が過酷な労働条件で働かされていたこと,Qatarが同性愛を認めていないことなどが批判の対象のようです。人権に敏感であることは当然ですし,その点でQatarに問題なしとはいえないのでしょうが,やや違和感もあります。WBSで滝田洋一さんが言われていたように,新疆ウイグル地区の人権問題を抱えていた中国で開かれた北京の冬季オリンピックでは,そこまでの批判はありませんでした。Qatarは中国と違って弱小国だから,思い切って批判しているのではないか,というのです。
Infantino会長の発言は,ワールドカップを守る立場にあるからという理由もあるでしょうが,欧州人としては勇気あるものであり,非欧州人が思っていることを口にしてくれた気もします。ほんとうに前向きに物事を考えるのであれば,この大会を潰すことではないのでは,という意見にも耳を傾けるべきでしょう。むしろQatarに押し寄せて,ビールを飲ませろという多くの西洋人たちこそ,異国の宗教や文化への配慮に欠けるとは言えないでしょうかね。西洋人の考える人権も,彼ら,彼女らが長い歴史のなかではごく最近につかんだ一つの文化にすぎないともいえるからです。
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