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2022年10月 4日 (火)

首相の所信表明演説

 臨時国会が召集され,岸田首相が所信表明演説をしました。そのなかで,「物価高・円安への対応」,「成長のための投資と改革」と並ぶ重点分野の一つに「構造的な賃上げ」が挙げられていました。「構造的」とは何だろうと思いましたが,日本経済新聞の今朝の朝刊では,リスキリングの1兆円パッケージは就職後に改めてスキルを高めた人材が成長分野に移り,生産性を高めて賃上げにつなげる好循環を狙い,「賃上げと労働移動の円滑化,人への投資という3つの課題の一体的改革に取り組む」と説明したとされているので,これが「構造的」ということなのかもしれませんね。
 人への投資⇒リスキリング⇒スキルアップにより,高い賃金を支払ってくれる企業に移動していくという流れは理想的ではありますが,このきれいなシナリオに欠けているのは,自分でキャリアを切り拓いていこうとする自立志向の労働者の存在です。職業教育というとリスキリングのような話になるのですが,これを成功させるために一番必要なのは,労働者の意識改革です。きれいなシナリオは,もちろんまず書かなければならないのですが,それだけでは社会は動きません。私は,そういう問題にずっと前にすでにぶつかっていて,新書などを書いていろいろ訴えてきたのは,労働者や国民に意識を変えたほうがよいというメッセージを届けたかったからです。光文社から20141月に刊行した『君の働き方に未来はあるか?』は,そういうメッセージを込めたものですし(昨年,大阪のある高校の国語の入試問題に使われたのを知って驚きました),文藝春秋から20192月に刊行した『会社員が消える』も同様です。もちろん,私の本くらいではインパクトが弱く,国民の意識改革には不十分でしょう。為政者からの力強いメッセージこそ必要なのですが……。
 また,首相は,年功序列的な職能給からジョブ型の職務給への移行も含め「企業間,産業間での労働移動の円滑化に向けた指針を来年6月までに取りまとめる」と話したと記事には書かれていました。まずは官邸がスローガンをぶちあげて,6月の閣議決定までに官僚にアイデアを出させるという,いつものパターンでしょかね。ただ,こういうやり方では,スピード感はでますが,促成栽培で内容がスカスカなものになりかねません。指針をバンバンだすというのは最近の流行ですが,じっくり構想を練って熟議した立法というものも,期待しています。

 

 

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