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2022年10月21日 (金)

オンラインと孤独と孤立

 テレワークと孤独という問題に言及するものが目につくようになってきました。実態はよくわからないところがあるのですが,孤独問題が,長時間労働のためプライベートでも他人と会う時間をとれず,そして,一番長い時間付き合う職場の人とも直接話ができない状態であることから孤独を感じているというのであれば,やや深刻な問題です。1日中,誰とも直接に話すことがない生活が続くと,かなりストレスがたまるでしょう。おじさんなら,それでもスナックでママに話を聞いてもらったり,バーでマスターと話をしたり,すし屋のカウンターに座って大将と話をしたりするなどして機会をつくれるのですが,若者では少し難しいかもしれません。
 テレワークはそれだけをとれば通勤しない働き方ということなのですが,そのうえで,どのような働き方が上乗せされるかによって,ずいぶんと評価が変わりえます。これはテレワークそのものの問題というよりも,テレワークの活用の仕方の問題といえます。テレワークに向く仕事とそうでない仕事があるでしょうし,テレワークに適した人とそうでない人もいるでしょう。働き方に大きな変化が起きること自体にストレスを感じる人もいるでしょう。
 ただ最初からテレワークをするつもりで入社する人もこれからは増えるでしょう。そういう人からすると,テレワークができなければストレスになるでしょう。そして,そういう人は,テレワークで場所的に孤立して働くことは覚悟のうえであり,私生活が忙しいので,できるだけ効率的に仕事をこなせるテレワークがよいと考えたりするのです。私生活で人に囲まれている状態ですので,孤独問題とは無縁でしょう。
 ところで,よく孤独と孤立は区別せよと言われます。孤独はひとりぼっちであるという心理的な状態を示すのに対して,孤立は他人とのつながりから切り離されていることを示すと言われます。孤独は,独身の人が増えつつあるので,今後いっそう大きな社会問題となっていくことが考えられます。政府は,自殺予防などの観点からも,この問題に力を入れて取り組んでいるようです。一方,ICTは,つながりの可能性を広げるので,孤立問題の解決には役立ちうるものです(もっともSNSの世界での孤立というものもあるので,簡単なことではありません)。いずれにせよ,テレワークと対面とのハイブリッド型でやっている企業で,テレワークの人が孤立し,孤独感をおぼえるようになるのは,テレワークの失敗例となりえます。孤独感については個人差があるでしょう。わりとワイワイ仕事をするのが好きな人はテレワークになると孤独感を感じやすいかもしれません(もともと群れたがらない人は逆でしょう)。ただ,企業は,孤独感を個人の問題とせずに,少なくとも孤立が生じないような業務体制にしたほうがよいでしょう。
 最近,私一人だけリモート参加で,あとの参加者は現場にいるということが増えてきている感じがします。先日の政府関係の仕事でもそうでした。カメラの位置が下のほうにあるせいか,全体がよくみえないし,人がひっきりなしに私の前を歩いて行くなど,やりにくかったです(カメラの存在に気づいてなかったのでしょう)。カメラの設置場所を少しでも考えてほしかったです。こういう状況は,私には孤独感はありませんが,孤立していた気がします。リモート会議をするのなら,孤立が生じないように,しっかり現場とリモートで「つながる」ようにしてもらいたいです。音声がつながれば十分と考えるのなら,電話参加で音声をスピーカーで聴いてもらえれば十分です。その会議ではデジタル担当大臣もいたのですが,少し残念でした。

 

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