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2022年10月13日 (木)

昭和ホールディングス外2社事件・控訴審判決

 前にこのブログで、この事件の東京地裁判決を紹介したことがありますが,その控訴審判決が今年の1月に出ています(東京高判2022127日)。今日の労働委員会の会議で採り上げられて,若干の議論をしました。
 事案の詳細は省略しますが,この事件で気になったのが,団交の申込み事項の明確性です。団交事項は,使用者は明確にされている範囲のものと理解してよく,文書化されている部分が義務的団交事項でなければ団交拒否してよいというのが高裁(および中労委)の判断で,これは地裁の判断とは異なっていました。本件事案の特殊性もあるのでしょうが,やや硬直的な印象を否めません。私は初審についてのコメントでは,微妙なところなので,労働委員会関係者としては中労委の判断を尊重してもらえれば,というようなことを書きましたが,研究者としての視点でみると,やはり東京地裁の判断のほうが妥当ではないかと思います。岡山大学の土岐将仁さんも, 1審の評釈で,「労働組合が労働条件の改善等を目的としていることからすれば,通常は労働条件の改善等を求めて団交申入れをしているはずであり,申入れ段階で義務的団交事項でないと断定するには,……団交申入書の記載だけではなく,関連文書や一連の経緯を判断せざるをえないと思われる」という適切な指摘をしています(ジュリスト1572136頁)。上告がどのようになっているのかわかりませんが,上告審で採り上げてもらいたいです。
 親子会社の使用者性,経営事項の義務的団交事項性,救済命令の裁量(中労委は団交拒否事案での救済命令を文書交付だけとした)などの興味深い論点が含まれていますし,教材としても扱いやすい事件です。そのうち,これを基にして期末試験の問題を作りたいと思います。

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