オンライン会議の弱点?
今年の甲子園の高校野球は,それほど雨の影響を受けなかったのではないでしょうか。日本全国を見渡すと,大きな水害をもたらした豪雨が多かったようですが,神戸ではそれほどひどい雨がありませんでした(これからは,わかりませんが)。ひょっとすると気候変動の影響はこういうところにも及んでいるのかもしれません。各地域の気候の特徴というものが,今後,どんどん変化していくのでしょうかね。
ところで話は変わり,産政研フォーラムの134号で,いつも楽しみにしている大竹文雄さんの連載エッセイ「社会を見る眼」の今回のテーマは「オンライン会議は創造的な発想を阻害する?」というものでした。海外の実験データなどに基づき,結論はイエスであり,ただ集中力が必要な会議は,オンライン会議のほうが優れているとされ,結びは「私たちは,オンライン会議と対面会議とをうまく組み合わせていく必要がある」というものでした。まあ,そういうところかなとは思うのですが,一人の人間単位で考えた場合には,ハイブリッド方式は生活のオーガナイズが難しくなり非効率な感じもしますので,会社内で,この部署や業務は対面会議中心,この部署や業務はオンライン会議中心というように切り分けたほうがよいように思います。
みんなが集まって雑談できるような環境こそ創造性を生むということは,よく言われてきました。それはそのとおりなのだと思います。私たちのコミュニケーションとは,言語的な情報のやりとりだけでなく,非言語的な情報のやりとりをしており,これがテレワークでは難しいのです。五感をつかった感覚的な情報や体験情報はテレワークでは伝わにくいということです。創造性には,こうした非言語的な情報が役立っているということは,直感的にもよくわかるので,これはテレワークの弱点といえるのかもしれません。
たとえば会社員ではなく自身の職場をもっている作家や芸術家のような人たちは,どうやって創造的な仕事をしているかというと,おそらく自分で進んで外の刺激を求めて動いているのだと思います。自宅にこもっていては行き詰まるのは当然でしょう。会社員の場合は,オフィスに出社することもそれに含まれますが,何か決まった時間に,どこかの場所に行くことを強制されるということにいなると,それは創造性に必ずしもプラスにならないような気もします。
創造性を要する仕事で,期待どおりの創造性を発揮してもらうためには,仕事の時間や場所の決定権はできるだけ本人に与えたほうがよいのです。創造性のポイントは,オンラインか対面かということより,個人の選択肢がどれだけ広く認められるような働き方のスタイルを認めるかなのだと思っています。その意味でも,時間や場所の自己決定ができる時間主権や場所主権が大切なのです。
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