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2022年9月25日 (日)

幼い子どもを大切にする社会に

 万葉集のなかの山上憶良の有名な歌に,「銀(しろがね)も金(くがね)も玉も なにせむに まされる宝 子にしかめやも」というものがあります。金や銀よりも,子どもこそが最も尊いものであるという親の気持ちを歌ったものです。ただ,子の尊さは親子だけの話ではありません。私たちの社会にとって,何よりも大切な宝は,自分たちの次の世代を担う子どもたちであり,子どもを大切にすることこそが,人々の行動の規準であるべきではないかと思っています。私たちの子孫が幸福に生きていけるようにするためには,何をすべきなのか。政府も企業も個人も,そこを真剣に考えなければなりません。年齢を重ねるにつれて,そういうように考えるようになってきました。
 しかし日々の生活では,親であっても,なかなか子どものことを優先させることができないことが多いでしょう。何よりも会社人間になると,「仕事」という理由があれば,「家庭」のことは犠牲にするのは当然という意識が昭和時代にはあり,その残滓がまだ消えていないように思います。ワーク・ライフ・バランス(労働契約法3条3項)という言葉はありますが,現実にはなかなか浸透しきれていないように思います。
 たとえば,幼い子どもが,原因不明の大泣きをして大変だったという理由で,取引先との約束を遅刻することは許されるでしょうか(2歳くらいまではまだしゃべれないので,泣いている理由がわからないことが多いのです)。テレワークでオンライン会議中に子どもが闖入してきたら,粗相をしたと叱られることはないでしょうか。しかしこれからは,子どもを理由とすることは大目にみるという会社でないと,仕事なんてやってられないという人たちが増えていくのではないでしょうか。
 育児は男女平等にと言われていますが,実際には女性に負担がかかっています(これは,日本だけの話でありません)。育児問題は,女性労働の問題でもあるのです。オンライン会議で,子どもを膝の上で抱えながら参加している風景をみて,ニコッとしてくれる上司や同僚,取引先に囲まれる環境があれば,親は幸せを感じ,仕事にも頑張れるのです。もちろん,これは女性だけではなく,育児を分担する男性も同様です。女性が幸せに仕事をできる働き方は,男性にとっても同様であるはずです。
 最近,幼児が悲惨な事故に巻き込まれて命を落とすニュースが多いような気がします。社会全体が,もっと幼い子どもたちのことを考えるようになってもらいたいです。まずは職場から改善が進めばと思います。

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