朝日新聞登場
今朝の朝刊で,「資本主義NEXT 日本型雇用を超えて:5)会社を支える「プロ人材」たち」という特集の中で,私のインタビュー記事が出ています(デジタル版では,もう少し多めに出ているようです)。朝日新聞に登場するのは,2015年2月14日に,残業代に関して澤路さんのインタビューを受けて登場したとき以来だと思います。久しぶりです。昨年の10月くらいに一度オファーがあり,その後,立ち消えになり,新たに今回の担当の平林さんという記者から依頼があって,ようやく記事になりました。
最初はどういう切り口かと思っていたのですが,ありがちなギグワークとフリーランスというものではなく,「プロ人材」にフォーカスしたもので,これは良いところに眼をつけてくださったと思いました。フリーランスと一言で言っても,いろんなタイプがあり,そのどこに焦点をあてるかはっきりしなければ政策は的を射たものになりません。そのなかで,今後はこういうプロ人材でなければ生きていけない時代がくるので,そこに政策の焦点をあてるべきなのです。
プロ人材の方のインタビューの内容も面白いと思いました。最後の方も言われていたように,不確実性時代において,いろんなコミュニティーに帰属することが重要だというのも同感です。正社員というのは,会社というコミュニティーに帰属し,そのメンバーとして忠誠を尽くすもので,安定性はあるものの,制約も大きいです。しかも,その安定性は徐々にゆらいできていますし,また安定性を得るために失うものが大きすぎてペイしないという問題もあります。後者は,損得を評価する基準が変わってきていることとも関係します。ある組織で出世すること,お金をたくさん稼ぐことといったものより,真にやりがいのある仕事を充実感をもってやること,仕事は生活のなかの一部にすぎず,大事なのは幸せと感じられる毎日をすごすこと,といった価値感をもった人が若い層を中心に出てきていると思います。私は,そういう価値観に強いシンパシーを感じています。プロ人材というと,何か特別な人材であるような感じもしますが,そうではありません。デジタル技術のおかげで,自分がやりたいことをやるという当たり前のことが,やりやすい時代に来ていること,一方で,そのデジタル技術が,むかしふうの会社員の仕事を奪っていくこと,という両方を考えると,会社員ではなく自律した働き方を選ぶのはごく自然なことなのです。そして,そういう働き方をして経済的に自立していくためにはプロにならざるを得ないのです。ただ,そこでいうプロというのは,プロ野球選手のようなとてつもない才能や技能をもつことを指すのではなく,自分の住んでいる(大小さまざまな)コミュニティーのなかで,他人にはできないような得意技をもって貢献するといったプロでもよいのです。今回の記事が,こういうことを考えてもらえるきっかけになればよいと思います。
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