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2022年8月 1日 (月)

医療現場の紙

 いつもブツブツ文句を言っているペーパーレス関係のことなのですが,先日の人間ドックでは,事前に問診票が送られてきて,それに記入して提出するようにと指示されていました。これはこのクリニックを利用し始めた10年以上前から様式が変わっていないと思います。ピロリ菌は陰性かという質問には答えを忘れてしまったので,書かないで提出したら,看護師さんがすぐ横にあったパソコンで過去のデータから陰性と確認してくれて,そのように記入してくれました。それはそれでよかったのですが,データで管理をしているのなら,受診者の問診票についても紙ではなく,スマホやPCで入力できるようにしてくれたら助かります。また,これらのデータは,私の健康データなので,いつでも私が観ることができるようにしてもらいたいですね。本人はピロリ菌がどうだったかというようなことは,すぐに忘れてしまいますし(胃がんにかかわるので,そういう大切なことを忘れる自分もバカなのですが)。
 医療機関の初診時にも,たいてい問診票を紙で渡されます。神戸市の医療機関がとくに後進的ということでもないと思います。コロナ禍なので,他人の使った鉛筆やペンは使いたくないです。いまはタクシーも,キャッシュレスがあたりまえとなっていて,お金のやりとりをしたり,行き先を言ったりしなくても,目的地にまで到着できます。医療機関も,予約はスマホで,質問事項もスマホで答えて,診療が終わると,明細をメールで送ってくれて,クレジットカードから自動引き落としというようなことにしてくれれば,よいのですが。さらに,その日の診療結果もメールで送ってくれればなおよいです。もちろん,重症でなければ,オンラインでの診療が助かります。人間ドックは別ですが,普通は体調が悪いときに医療機関に行くのであり,医療機関まで出向いていき,ときには長時間待たされることで,よけいに体調が悪化しそうです。
 ところで,近所の耳鼻科で,医師が,私に小児喘息の既往症があることを前提とした話をしていて,何か変だなと思いながら,まあ喘息に近いものをかかえているからなと思いながら聞いていたところ,パソコンに映し出された私の既往病が目に入り,それが小児喘息となっていたので,あわてて訂正したことがあります。どこでどう間違ってそういう誤データが混入したのかわかりませんが,こわいことです。ただこれはパソコン画面に映し出せるデジタル情報だから発見できたともいえます。手書きのカルテに書かれていると,私の目に入ることはなかったでしょう。
 その医師は,決して悪い人ではありません。私の前でメモ帳の切れ端のような紙を置いて,いろいろ鉛筆で書きながら症状やその原因などを説明してくれました。親切で丁寧なのですが,その紙は回収されてしまいました。どうしても欲しいと言えばくれたかもしれませんが,なんとなく手書きの紙をもらうというのも変な感じがして,言いそびれてしまいました。ただ,こういうのは手書きの紙ではなく,デジタルデータで送ってもらいたいものです。そのようにしてデータでもらえると,セカンド・オピニオンを求めて,他の医療機関にも行きやすくなります。
 デジタル化は,初期費用はかかるでしょうが,医療従事者の仕事を効率化させ,サービスのクオリティの向上につながるでしょう。診療結果のデータ化は可視化でもあり,上記のセカンド・オピニオンの場合のように,サービスのクオリティの事後点検もしやすくなるので,医師はいやがるかもしれませんが,これは受け入れてもらう必要があると思います。
 新型コロナウイルスの第7波で,医療現場が大変なことになっているのはとても心配ですが,外来予約の管理を紙の日程表に書き込んでいる映像が出てきたりすると,これでは業務が回らないのは当然だと思ってしまいます。こういう働き方をさせられている従業員は可哀想です。
 そういえば,前にテレビのニュースで,厚生労働大臣が執務室らしきところから,オンラインで話をしているところが報道されていましたが,背後に映っていた机の上に分厚い紙のファイルがありました。このアンバランスが滑稽でした。これでは,効率的な仕事ができないだろうなと思ってしまいました。こういう映像を出してダメージになると思わないところに,政治家や霞ヶ関のデジタル化への感度の鈍さを感じます。
 政府にデジタル化の音頭をとってほしいとは,もう言いません。ただ,DXを進めたいと思っている医療機関はたくさんあると思うので,政府は,せめてそれを邪魔しないように(できれば補助をするように)してもらえればと思います。

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