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2022年8月 4日 (木)

Pelosi訪台に思う

 アメリカのPelosi下院議長の訪台は,悪いタイミングでしたね。報道によると,このタイミングとなったのは,自分の都合のようです。もちろん台湾を応援する行動それ自体は良いのですが,タイミングをまちがえれば,かえって周辺国を危険に巻き込むということを,よく自覚してもらいたいです。こういう配慮をしないで独善的な行動をとるのは,いかにもアメリカ人的だと思いますが,これは偏見でしょうか。
 ウクライナ戦争も長期化し,対ロシアで結束していたアメリカは,今回のPelosiの訪台を阻止できなかったことで,Biden大統領のリーダーシップの欠如を露呈しました。対ロシア強硬派であったイギリスは首相が退陣しましたし,イタリアも首相退陣が決まりました。フランスの大統領は国内基盤が脆弱です。結局,政権交代がほとんど起こらない独裁国家のほうが強いということになりかねません。そういうときにこそ日本も含めた西側は結束しなければならないのに,議員たちが勝手な行動をとるようではうまくいかないでしょう。あげくに,中国に余計な挑発をした感じになりました。これはまさに中国が言うように「火遊び」のように思えます。
 中国の覇権主義的な行動を抑え,台湾が香港みたいにならないようにするのが大切なのは当然です。しかし,日本と中国との関係は,圧力一辺倒で対処すればよいというような単純なものではありません。幸い,いまは日韓関係は良いですが,これも大統領が代われば,どうなるかわかりません。中国,韓国,ロシア,北朝鮮と周辺国が敵や非友好国ばかりになったとき,遠くにいて,しかも様々な面で弱体化してきているアメリカだけが頼りというのは,とても不安です。

 それにしても残念なのは,香港に行ける日が私が生きている間には来そうにないことです(←これはちょっと言い過ぎでした)。台湾が,そういうことにならないように心より祈っています。台湾有事となると,沖縄だって危険になってきます。

 岸田首相は,平和のための新構想というのをぶちあげましたが,海上安全とか防衛増強とかが中心で,台湾問題(それはひいては沖縄や本土の安全の問題にもつながる)にどれだけ効果があるのか疑問です。ただお金を使うだけの平和構想では困ります。平和のための明確なビジョンとその実現のための戦略があり,一つひとつの政府の行動が,その戦略に基づいて進められていて,そのために必要だから税金を使うのだという説明を国民にわかりやすくすべきです(もちろん外交などでは,言えないこともあるでしょうが)。平和は遠のき,国家は窮乏する,というようなことになっては,私たちの子孫に申し訳ないことになります。重要な政治課題が次々とふりかかっている現在,岸田政権のやることを,しっかり関心をもってみていくことが必要です。

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