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2022年7月24日 (日)

これからの社会保障への不安

  7月22日の日本経済新聞の経済教室で,八代尚宏先生が「参院選後の岸田政権の課題(下) 高齢化社会の不安払拭急げ」という論考を発表されていました。全世代型社会保障構築会議の中間整理において,年金や医療・介護の費用の膨張にどう対応するかという論点が欠落していることを批判されていました。年金制度は,祖父母が孫からお年玉を取り上げているようなものだとし,高齢者の定義を75歳とすべきだと主張されています。75歳現役社会を前提に,制度設計をし直すべきということで,これは雇用政策にも関係してきます。私はこうした改革は不可避だと考えており,激変緩和は必要ですが,できるだけ早く着手すべきでしょう。高年法の改正で,20214月から70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務が導入されましたが,こうした措置の年齢上限はさらに5歳引き上げることも必要でしょう。しかし,より根本的には,雇用も自営もふまえた75歳までの就業促進策をどう実行するかが重要で,その鍵となるのは,高齢者が持続的に能力を発揮できるようにするためのデジタル技術の活用です。
 年金については,国民年金の保険料を廃止して,年金目的消費税を導入すべきという提言もされています。かつて八田達夫先生は,日本労働研究雑誌605号(2010年)の提言「国民年金は,所得税や消費税で賄うべきか,人頭保険料で賄うべきか」 で,国民年金の保険料は,所得税でまかなうべきという提言をされています。私も消費税よりは所得税のほうがよいと思っています。ただ,八代先生も,「豊かな高齢者から貧しい高齢者への同一世代内の所得再分配を強化し,後世代の負担を減らす工夫も必要だろう」と述べておられており,そうした工夫の一つは,年齢に関係なく,豊かな人から,貧しい「高齢者」への所得再分配が可能な税制の活用ではないかと思っています。
 一方,医療・介護については,財政の問題と同時に,マンパワーの問題もあります。医療人材のことについては,宇沢弘文の社会的共通資本の考え方に賛同するということを何度も述べていますが,それとは別に,ここでもデジタル技術の活用が求められると思います。急速に医療人材や介護人材を増やすことができない以上,いかにしてデジタル技術を活用して,省力化・効率化を図るかがポイントです(これも何度も述べています)。デジタル技術の活用は,高齢化社会への対応にしろ,医療・介護人材の不足への対応にしろ必要不可欠なものであり,政策の基本は,常にここから始まるのです。

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