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2022年7月 9日 (土)

増税の条件

 7月6日の日本経済新聞における中外時評で,「増税認める社会の条件は」というタイトルの斉藤徹弥論説委員の記事が出ていました。「増税が受け入れられるには,負担増になる人が恩恵を受ける人に共感を抱き,情けは人のためならずと感じる想像力が要る。こうした社会は公共意識が高く,地域でも,国家でも,分断を避けられる余地があると感じる。」と書かれていて,国民の公共意識の重要性を説き,日本はこういうものが足りないのではないかという論調のように思えます。
 公共意識の重要性は言うまでもありませんし,高校の必修科目に「公共」が加わったことは,その内容がどういうものかということにもよりますが,基本的には妥当と思います。
 ただ増税を認めるための条件については,もう一つ重要な視点があります。記事のなかにも出てくる五百旗頭眞先生は,東日本大震災のあと,阪神大震災のときの経験もふまえて,震災復興税を唱えたという点について,もう一つ重要なことをおっしゃっています。先生は復興税の提言をされたあとに,「全額国費負担」となることを聞かされたそうです(https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/54486.html)。そのため,「結果として『国が負担するならやれることは全部やろう』ということが起きたと思う」とし,「日本全体が人口減少の局面にあるなかよりいいものを作ることと,より大きいものを作ることは別のことだ」という指摘をされています。つまり,税金の無駄遣いが起きてしまったということです。
 国民の不満は,復興税それ自体ではなく,それが無駄遣いされてしまったのではないかという疑念にあるのです。国民は,税金をどのように使うのかということについて,政府を信用して託したのに,その信用が裏切られたのではないかという不満があるのです。この点こそが,増税の前提条件に関係するのであり,その不満や懸念が解消されれば,おのずから国民は増税に応じるのです。
 持続化給付金の詐欺はひどいです。一般国民だけではなく,役人まで手を染めました。これは詐欺をしたほうが悪いのですが,でもこれほど多くの詐欺が起こるとなると,制度に欠陥があったといわざるをえないでしょう。これも税金の使い途に対する緊張感のなさにあるのではないか(いつものようにデジタル化の後れということなのですが)と思われてもしかたがないと思います。
 震災復興のときに財務省で財源確保の中心になったのが,今回,次官になった茶谷栄治さんと言われています。財務省の大エースで,満を持しての登板となった茶谷次官には,歳入面だけでなく,歳出面についても,しっかり役所の立場からコントロールしてもらいたいです。
 ところで,日経の記事のメインは,滋賀県の知事選で現職知事が「交通税」をかかげて戦っている点でした。たしかに,これなら使途も明確であり,その内容も正当なものと思われます。こういう増税はあってよいのです。もちろん無駄な支出を切り込んだうえでのことですが。
 一方,国政では,月100万円とはいえ,文書交通費についての杜撰な取扱いがやはり政治不信を生んでいます。ここで法改正をして,全額使途公開くらいやっていればよかったのですが,今回の法改正は,日割り支給を認めるだけで根本的な改正になっていません(名称も「調査研究広報滞在費 」に変わっていますが,これまでの目的外利用をただ正当化しただけとみえなくもありません)。これでは,余計に政治不信を生んでしまうでしょう。そんなことは十分に予想されるのに,でも改正できない国会議員をみると,やっぱり税金を託すことは難しいなという気持ちになってしまいます。国民が公共意識をもちたくても,もちづらくしているのは,政治の責任ではないでしょうか。

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