王位戦第2局
王位戦第2局は,藤井聡太王位(五冠)が,挑戦者豊島将之九段を下して,1勝1敗となりました。第2局は,豊島九段が3時間近い大長考をした後に指した一連の手があまり良くなかったということでした。トッププロがこれだけ考えても最善手を指せない将棋の難しさと奥深さを感じます。AIがプロ棋士の研究でも活用されている今日,対局前に当該戦法について十分に研究をして準備しておかなければ,その場で考えてもなかなか挽回できないということなのかもしれません。一方で,まだあまり研究されていない未開拓の領域に持ち込んで力勝負を挑むという戦法もあるのでしょうが,実力者どうしのタイトル戦では,そういう荒っぽいことはしないでしょうし,たぶん仕掛けたほうが負けるでしょう。
藤井聡太五冠と棋聖戦を戦っている永瀬拓矢王座への挑戦を争う王座戦の挑戦者決定トーナメントは,勝ち上がった豊島九段と大橋貴洸六段の勝負となりました。大橋六段は,トーナメントの1回戦で藤井聡太五冠を下して調子に乗っており,難敵を下してタイトル初挑戦となるかが注目です。
里見香奈女流四冠の編入試験の相手が決まりました。若手四段が5人集められました。「女には負けられない」というような感覚をもつ時代ではないと思いますが,三段リーグの突破という正規ルートで入ってきた若手四段には,編入試験という迂回ルートでプロ棋士の世界に入ってくることについて複雑な感情があるかもしれません。そう簡単にこのルートの突破を認めるわけにはいかないでしょう。しかも世間も注目します。女性活躍推進時代と合わせて報道するところもでてくるでしょう。男性棋士としては,ここで厚い壁となり名を揚げたいところでしょうが,ファンとしては里見さんに,勝って新しい時代を切り拓いてほしい気持ちもあります。