核問題について
NHKプラスでみた再放送番組のなかで,道傳愛子さんがJacques Attali氏やIan Bremmer氏らにインタビューをしているものがありました。それを観ていて感じたのは,ウクライナがロシアに攻撃されたのは,核兵器を放棄しながら,NATOに加盟しなかったからで,アメリカもいざというときには頼りにならないということを教訓として,日本が核兵器をもとうとするのではないかという懸念がもたれていることです。日本は, NATOに加盟しておらず,同盟国のアメリカも頼りにならないとわかれば,ウクライナの二の舞にならないように,核兵器をもつことが必要だと考えるかもしれないと思われているのかもしれません。そして,それは世界にとって最悪のシナリオであるというのが,世界の識者の意見なのでしょう。
日本は,歴史上,唯一の戦争被爆国です。しかも2回も民間人相手に核爆弾を落とされた国なのです。この日本が,核兵器をもとうとするかもしれないと疑われていること自体,世界の平和におそろしく危険なメッセージを与えることになります。日本が原因で,泥沼の核競争の歯止めがなくなるということは避けなければなりません。唯一の被爆国である日本人が声をあげなければ,いったい誰が声をあげるのでしょうか。その意味で,核兵器禁止条約の会合にオブザーバーとしても参加しない行動は,誤解をいっそう強めてしまわないか不安です。「聴く力」ではなく,「伝える力」が必要です。
広島出身(東京生まれだそうですが)の岸田首相には責任があります。本気で平和を実現したいと考えるならば,広島らしい,原爆の問題と向き合った解決策を打ち出す必要があるでしょう。アメリカの「核の傘」に入る選択肢を,最初から放棄せよと言いたいわけではありません。しかし,「核の傘」について日本内の少なからぬ国民が不安に感じていることも知っておいてもらえばと思います。そもそも地球上の人々はみな頭上に爆弾がぶらさがっている状況下で生きているのです。その爆弾のスイッチボタンは,どこかの独裁者も握っています。その爆弾を一つひとつ取り除いていくしか,ほんとうの平和は実現できないのです。岸田首相には,日本だからこそ,また広島出身の首相だからこそできることがあるはずです。核の問題をうまく解決して世界平和に貢献できるような,スケールの大きな平和構想を語って欲しいです。
今回の参議院選挙でも,平和は重要なテーマです。安全保障という言い方よりも,端的に世界平和の実現というテーマで議論してもらいたいです。経済が再生しても,平和がなければ,意味がありません。この面では,共産党は良いことを言っていると思いますが,ただ,かりに共産党が政権をとっても,Japanese Communist Party という名称であるかぎり,まともな国が近づいてこず,うまく国際協調ができないであろうという点が残念です。党名変更(せめて英語表記について)を真剣に考えるべきではないかと思いますが,余計なお世話でしょうね。