日本労働研究雑誌
昔はこうだったとか言いだすと,若い人から嫌がられるのでしょうが……。
日本労働研究雑誌で,いつ頃からか,労働法関連の論文がまったく掲載されない号がときどきあるような気がします(しっかり調べたわけではありませんが)。元編集委員としては,ちょっと残念です。論文を割り当てて依頼していたが,結局,原稿が出なかったということはあるのかもしれませんが,それはきわめてレアでしょう。例えば今年の4月号の「労働統計の現在とこれから」では,労働法に関する執筆者はいませんでした。この特集テーマであれば,「労働法は,労働統計とどう向き合ってきたか」とか,「労働法研究では,なぜ労働統計をつかった議論をしないのか」くらいの論考があってもよかったような気がします(執筆者は必ず見つけられますし,どうしても見つからなければ自分で書くのです)。
とはいえ,私が編集委員から離れて,もう10年以上が経ち,その間にすっかりメンバーも入れ替わり,雑誌の編集の仕方も変わってしまったのかもしれません。編集委員長なるものがいるのも,昔と違っていますね。私がいたころは,あえて委員長なるものをおかず,編集委員がみんな対等に,異分野間での研究会をやるように議論していて,それがたいへん勉強になりました。まあ,委員長がいても,そういう議論ができないわけではないでしょうが。いすれにせよ,この雑誌において最も重要な投稿論文の審査では,他の分野のものでも,積極的に意見を述べ,専門外の者にも価値がわかるような論文でなければ通さないというくらいの緊迫した議論をする伝統は変わらないで残っていてくれればと思います。
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