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2022年6月 1日 (水)

面接解禁

 6月になり,朝のテレビ体操も内容が変わりました。今日からコロナ関連の規制も緩まったようであり,自粛していた宴会を再開しようとする動きが出てきているようです。しかし,私は,大人数の宴会には参加する勇気はまだありません。マスク着用で食事をするのは気が進まないですし,でもマスクがなければ怖いですし,席の間の距離を置いてくれればよいですが,それなら会食という感じにはならず,大声を張り上げて話すとなると,感染リスクが高まるなどと考えていると憂鬱になります。懇親を深める会というものの必要性は否定しませんが,デジタル時代における新たな懇親のあり方というものはないのでしょうか。
 61日は,採用面接の解禁日でもあります。経団連は,すでに就活ルールを廃止しているので,これは政府が定めたものです。昨年11月に発表された政府の「2023 年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」によると,従来の就活ルールを踏襲して,広報活動開始は,卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降,採用選考活動開始は,卒業・修了年度の6月1日以降,正式な内定日は,卒業・修了年度の10月1日以降となっています。違反しても法的制裁があるわけではありませんが,多くの企業は従っているでしょう。
 学生は,いまだに従来型の就活をしている人が多いようですが,そういう方法で就職して,10年後にその会社に残っている可能性は低いのではないでしょうか。いつも言っているように,企業の求める人材は変わりつつあります。「いま,あなたを必要としている」という企業に入っても,機械に代替するまでの一時的な雇用かもしれません。問題は,そうした時限的な需要であることについて,企業も人事担当者も実感していないところです。騙そうとしていれば,良心の呵責もあるでしょうが,心底から企業の永続性を信じて,そしてその組織に学生を迎えたいと思っているところが厄介です。デジタル代替は起こるのであり,起こらないような企業は沈没していきます。それなりの企業に就職すれば,親も喜ぶし,友だちも優秀な人がいるでしょうし,組織もしっかりしていて帰属感もあるでしょう。でも企業は営利組織です。人材は,「人財」などと持ち上げられても,しょせんはコマにすぎません。株主構成が変わり,経営者が変わると,企業文化が激変する可能性があります。企業とは,そのようなものです。幸いにも,そういう荒波に飲まれないで安定的に成長していく企業もあるでしょう。人本主義を貫徹できるような企業もあるでしょう。でも,その数はそれほど多くないと考えておいたほうがよいのです。私なら,学生たちにそうアドバイスします。結局のところ,いちばん大切なのは,自分はどのような形で社会への貢献ができるかということです。企業に雇用されるというのは,その方法の一つでしかありません。企業に雇用されるというスタイルが肥大化してしまっている社会は異常であるという感覚をどこかでもっておいたほうがよいです。あたかも確立した制度のようになってしまいっている就活のスケジュールに乗ってしまう前に,自分の人生設計をしっかり立てて,自分主体で就活スケジュールを立てなければ,あとで後悔することになるのではないかと,老婆心ながら学生たちに伝えておきたいです。

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