ボクシングはPPVでの観戦でよい
世界バンタム級の3団体統一王座をかけた井上尚弥・ドネア戦をAmazon Prime で観ました。Liveでは見逃しましたが,井上選手の圧勝という結果はわかっていたので,安心して観ることができました。モンスターはどこまで強くなるか。3団体の統一チャンピオンとなり,次は4団体の統一戦のようですね。
と書きながら,ボクシングという殴り合いのスポーツを好むという私たちのなかには,残虐なものが潜んでいるのかなと思ってしまいました。今日,私たちが生き延びてきたのは,敵を倒して勝ってきたからなのでしょうか。そういう遺伝子が,ボクシング観戦をわくわくさせているのでしょうか。そして,ロシアとウクライナとの戦いも,そうした遺伝子のなせることなのでしょうか。せっかくの井上チャンピオンの快勝に,興ざめなことを書いて申し訳ない気もするのですが,自分のなかに,ボクシングや格闘技を観て面白いという気持ちが,前ほどはなくなってきたことも事実です。殴り合いという行為自体に,どこか違和感を感じてきているからかもしれません。
子どものころ,テレビでボクシングやプロレスを観ていた私に,母があまり良い顔をしていなかったことを思い出します。自分を鍛えるためや護身などのためにボクシングや格闘技の練習をすることは良いと思いますが,こういう競技に対して,母のように抵抗感を示すのも,すごく健全な感覚のような気がします。
最近,格闘技の有名な試合について,フジテレビが放映をキャンセルしたことが話題となりました。キャンセルの理由はよくわかりませんが,結果として,それで良かったと思います。格闘家たちはプライドをもって競技に挑んでおり,「子どもたちにも観てもらいたい」という気持ちをもつことは理解できますし,そのためには,地上波で無料観戦ができるほうがよいのでしょう。私も子どものときから観ていたので悩ましいところですが,この年齢になって冷静に考えれば,やはり子どもには観戦させないほうがよいなと思っています。格闘技は,それを観たい大人が,この前の村田選手の試合や今回の井上選手の試合のようにネットで有料(見放題への組入れか,PPV(Pay-Per-View))で観るということでよいのではないでしょうか(フジテレビが放映しなかった試合も,Abemaで,PPVで観戦できるようです)。
このことと,ロシアとウクライナの戦争の話とを絡めるのは強引すぎると言われるかもしれませんが,でもこの世から暴力をなくしたいという気持ちをもつ者が増えている現状を考えると,少なくともテレビで,無料で簡単に,スポーツとはいえ,殴り合いを放送する番組はないほうがよいのでは,と思います。そして,そのほうがこのスポーツが末永く支持されやすくなり,競技者たちにも利益となると思うのです。もちろん,そういう私も,なんだかんだ言いながら,井上選手の次の試合は観戦すると思います(おそらくPPVとなるでしょう)。
« 健康診断と健康診査 | トップページ | これも「人への投資」? »
「スポーツ」カテゴリの記事
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 何を報道するか(2023.05.15)
- 「鎌倉殿の13人」のラスト(2022.12.24)
- 映画「罪の声」(2022.12.11)
- 『鎌倉殿の13人』も,いよいよ大詰め (2022.11.29)
- 「ウォーデン 消えた死刑囚」(2022.11.15)