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2022年5月 2日 (月)

Amazon での労働組合結成に思う

 昨日のメーデーの話の続きですが,Amazonで労働組合の結成が認められたという報道がありました。アメリカの労働組合結成については,1年ほど前にこのブログで紹介したことがありますが,日本とは法的制度が異なるので注意が必要です。とくに「交渉単位」での労働者の投票で過半数の支持があれば排他的交渉代表権限を得るというところが特徴的です。昨年は失敗したということを紹介しましたが,今回は一部の職場で結成に成功したそうです。
 ウクライナ情勢やコロナの影響から来るインフレは,当然,労働者の可処分所得の実質的な目減りをもたらすので,労働者の生活は苦しくなるでしょう。アメリカでは,ガソリン価格への反応がことのほか大きいようで,庶民の怒りは高まっているようです。不満の矛先は政府に向かうのですが,当面は雇い主に賃金の引上げを要求することになるでしょう。もちろん,それは企業業績がどの程度かということにもよるのですが,Amazonですから,そこは労働者側も強気にでれるでしょう。Amazonの今年の第1四半期(13月)が減益だったという報道が出ていましたが,Amazonが世界屈指の巨大企業であることに変わりありません。収益を労働者に回せという声に支えられた,いわば下からの組合結成は,労働組合活動の原点です。
 日本では,長らくデフレが続き,賃金交渉の必要性が小さかったために(デフレ下では,名目賃金が維持されれば,実質可処分所得は上昇する),春闘の賃金相場形成の意義が下がり,政府がもっと賃上げをと要求するほどになっていました。しかしいま,日本でもインフレの危機が迫っています。私も物価高をひしひしと感じています。エネルギー価格の本格的な上昇が始まると,国民からの賃上げの要求は高まるでしょう。
 もっとも,賃上げ圧力は,多くの業種において,いっそうのデジタル化を促進することになり,省力化も進んでいくことになるでしょう。Amazonもそういう対応をしていく可能性が高いと思われます。つまり,賃上げ要求は,労働者にとって,少し先のことを考えれば雇用を失うという形で跳ね返ってきうるのです。とはいえ,当面は急激なインフレ対応への生活防衛として賃上げ交渉は広がっていくでしょう。政府にとっては,それが労働者の怒りのはけ口になっていれば助かるでしょうが,賃上げをできる企業がどれだけあるかわからず,結局は,政府への抗議に広がっていく可能性は十分にあります。
 昨日も書いたように,労働組合は,雇用されない労働者が中心になるという展望をもって運動をしていかなければなりませんが,そこに移行するまでの雇用労働者の抱える様々な課題にどのように取り組んでいくかも重要であり,インフレ対策は労働組合にとっては,その存在感を発揮する格好のテーマです。政府は,労働組合があまりに存在感を発揮することには警戒するでしょうが,それがインフレ対策に取り組むインセンティブとなるのです。国民にとっては,労働組合が適度に強くなければ困るのです。

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