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2022年3月13日 (日)

子どもたちにかかわりたい?

 ネットニュースで,タレントのつるの剛士さんが,幼稚園免許の取得をしたというのが出ていました。彼が保育士資格をとることをめざしながら,受験資格がなかったというところまでは知っていたのですが,短大にかよって資格をとろうとしていたことまでは知りませんでした。今回短大を卒業し,幼稚園教諭Ⅱ種免許をとり,いよいよ保育士の国家資格をめざすのでしょう。なぜ,このニュースが気になったかというと,それは二つの点からです。一つは,私も定年後の仕事の候補として保育士にチャレンジできないか,ということを少し思ったことがあったからです。筆記試験はいまの記憶力では心もとないですが,頑張ればできるかもと思ったのと,実技試験のほうは,それほど苦手ではないので(音楽と言語。造形は絶対にダメですが),そんなに甘いものではないとわかっていながら,老後のチャレンジの目標にできればと思っていたからです。定年になっても,何かやっていかなければ生活できませんし,できれば同じ教育の世界に携わることも悪くないなと,セカンドキャリアのことを考えていたのです。つるのさんの挑戦はとても励みになりますね。いまはとても勉強の時間はないですが,少なくともピアノの練習だけは仕事の合間をみてやっておきたいです。二つ目は,実は,少し前に読んだ塩谷隆英『21世紀の人と国土―下河辺淳小伝』(商事法務)のなかに,下河辺淳さんが,(本気かどうかわからないのですが)若手からの「もし,生まれ変わったら何になりたいですか」という質問に,「幼稚園の先生になりたい」と答えられた部分を思い出したからです(343頁)。私自身,上記の保育士のことだけでなく,江戸時代の寺子屋のようなことが,老後にできればいいかなと思っていたところでもあったので,下河辺さんの「幼稚園の先生」という答えが記憶に残っていました。
 ところで,この本は,連合総研のお仕事をしたときなどにご一緒したことがある薦田隆成さんからいただいたものです(お礼が遅くなり申し訳ありません)。下河辺さんという立派な大官僚の伝記的な内容で,こういうものは読むと,こちらの小人物ぶりを思い知らされて辛くなるので,なかなか読む気にならずに,本棚に積んでいたのですが,あるとき,なんとなく手に取ってページをめくっているうちに,彼の活躍のすごさに驚きながら,全部読んでしまいました。この本のなかで,とくに印象に残ったのが,2002年に行っていた講演の収録部分です(303頁以下)。公共性を重視するというスタンスで,情報技術にもふれながら,精神復興のことも語られていました。「専門」から「統合」へ,「国家」から「個人」へという重要な問題提起もされていました。私は,社会の構成員である個人が深い教養を身につけて,社会のために何をやれるのかを考える社会,そして,その際には,デジタル技術を十分に活用しながら,それとアナログ的なヒューマンな要素とを融合させていけるような社会を目指さなければならないと思っているのですが,そういう考え方がこの講演にはしっかり詰まっていました。その箇所をスキャナでとってデジタル保存しました(私は大事な書類や文書はデジタル保存しています)。
 下河辺さんは「生まれ変わったら」と言われていましたが,ほんとうはこういう立派な方が,幼稚園や小学校低学年の先生になってもらう必要があるのだと思います。いまも同じかわかりませんが,東京大学の教養課程の「法学」(正式な科目名は忘れました)の授業は,定年直前の先生が担当するという伝統があり,法学部生(教養学部文科1類)が最初に聴く専門科目の授業の一つが,最もシニアの教授の授業なのです。これは大学のことですが,次世代のことを真剣に考えている経験あるシニアが,若い人や子どもの教育に携わるのは,良いことだと思います。

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