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2022年3月 1日 (火)

棋士の引退

 桐山清澄九段が引退となりました。将棋の引退規定は少し複雑なのですが,順位戦に参加しないフリークラス(C2組から陥落する場合と,自ら宣言してこのクラスに入る場合とがあります。このほか三段リーグで2回次点になって四段昇段を選択した場合にもフリークラスに編入されます)にいると,一定の要件で定年が迫られます。2020年にC級2組からフリークラスに陥落した桐山九段は,竜王戦だけは出場可能でしたが,5組在籍で2年が上限で,今期で4組に上がれなければ引退となるとされていました。残念ながら先日の対局で敗れて4組昇級の可能性が絶たれて引退となりました。とはいえ,74歳ですので,よくここまで戦ってこられたと思います。最近はほとんど勝てていなかったですし,実は超一流棋士として名を残せる1000勝(特別将棋栄誉賞)まで,あと4勝というところまで迫っていましたが残念でした。A級在位14期,タイトル4期(棋聖3期,棋王1期),名人挑戦もある実績十分の棋士ですが,あまり素人には受けない棋風で,「いぶし銀」というキャッチフレーズも地味でした(谷川浩司九段の「光速の寄せ」などとはかなり違います)。ただ,実力のプロの世界で74歳まで頑張られたのは凄いことで,ほんとうにご苦労様でした。
 棋戦情報です。桐山九段も関西棋士ですが,先日の朝日杯将棋オープン戦の決勝では,関西(加古川)の井上慶太門下の稲葉陽八段と菅井竜也八段の兄弟弟子対決がありました。菅井八段が勝って優勝しました。おめでとうございます。菅井八段は,銀河戦でも優勝しており,年に2回の優勝はすごいです。A級も残留し,来年度は名人挑戦ともう一度タイトル獲得(王位を1期獲得経験があります)を目指してほしいですね。
 女流では,女流名人戦で,里見香奈さんが12期守ってきた名人位を伊藤沙恵さんに奪われました。伊藤さんは里見・西山朋佳の二強に続き,加藤桃子さんと並ぶ実力者ですが,タイトル戦では里見さんに何度も挑戦しては敗れ,これまで無冠でした。ようやく今回タイトル奪取できました。女流は里見時代であったのが,西山さんの登場で二強時代になりつつありました。伊藤さんはまだ二強を切り崩すまでには至っていませんが,これからの活躍を期待したいです。まずは男性棋士にもっと勝ってほしいですね。
 実は里見さん(妹の咲紀さんも女流棋士です)や西山さんは,男性棋士にかなり勝っていて,先日も里見さんは,なんとB1組に昇級を決めているバリバリの若手棋士の澤田真吾七段に勝ちました。女流のレベルは上がっているのですが,まだ男性棋士と互角に勝負できる女流棋士はこの二人くらいです。とくに男性のトップ棋士相手となると,この二人でも勝てる見込みはほとんどないのが現状です。女性の棋士が,いつかプロのタイトルを獲る時代は来るでしょうか。今世紀中は無理という感じもしますが,どうでしょうかね。

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