ナッジ
日本経済新聞の経済教室でカタカナ英語を使うと,日本語の訳を入れるよう指示されることが多いです。たぶん指示されるだろうなと思いながら,でも日本語訳がどうもぴったりこないと思うことがあり,あえて入れないこともあります。ときどきそのままとおることがありますが,インセンティブは,あいかわらず「誘因」と入れるよう求められます。これはまあいいかなと思うのですが,プラットフォームを「基盤」と入れるよう提案されたときは困りました。どう応答したか忘れましたが,基本的にはプロの編集者の言うことは聞く方針ですので,それにしたがったと思います。ただ,いまではプラットフォームは,日本語をいれなくてもよくなったのではないかと思います。1月に書いた原稿で「ナッジ」(nudge)という言葉を使ったとき,これはちょっと微妙かなと思いましたが,経済教室だし,最近よく使われているので大丈夫だろうと思っていたら,「誘導」という日本語を提案されたので,そのとおりにしたがいました。よく「(ひじで)つつく」という意味だと説明されていますが,少し長いので,この程度で仕方ないと思いました。ところで,2月21日の経済教室では,「ナッジ」がテーマとなっていました。このカタカナ英語がそのまま見出しで使われていて,日本語はついていないと思っていたら,本文で「ひじで合図する」という意味だと書かれていたので,それでよしとされたのでしょうね。プラットフォームと同様,ナッジも日本語なしでOKとなるでしょうか(ほんとうにプラットフォームの日本語が不要となったのか自信はありませんが)。
ナッジは,ネットのdictionaryでみると,「to push against gently, especially in order to gain attention or give a signal」となっていました。イタリアでは,そのまま英語のnudge という言葉を使っているみたいですが,調べていると「spinta gentile」という表現も出てきました。これも上記の英語と同じで「やさしく押すこと」という意味です。いい感じですね。パターナリズム(paternalism)でもなく,リバタリアニズム(libertarianism)でもないところがいいのです(このあたりは,またいつか書きます)。今後,和訳を求められれば,「つつく」より「優しい一押し」という表現を使ってみましょうかね。
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